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藤村士郎が征く
第16話 東西交流戦最終夜 前篇 逆転ムードからの、まさかの本陣強襲!?
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 そして、ブーメランのように戻ってきたランスと楯を掴みとり、気を収束させながら構える。
 しかも、作戦上で仕方なかったとはいえ、今の川神残存部隊の陣形は、離れている距離の長さが長短あれど、全員が黒騎士の最初に使った技の範囲内である射線上に固まっていた。

 『手加減していたとはいえ、それなりに楽しめた。だがこれで幕引きにしようぞ』

 未だ動けないものも多くいる中で、あずみは一番奥に居る英雄に向かい叫んだ。

 「お逃げ・・下さ・・い、英雄様!先・・程のがま・・・た来ま・・す」
 「何を言う!お前たちだけ残して逃げられるわけなかろうが!!」
 『人の上に立つものとしては見事ではあるが、今この状況では如何かな?―――暁流槍術――――《覇国》!!!』

 一度目と同じく威力自体は手を抜いている様だが、効果範囲の影響で近くに居たモノから次々と薙ぎ払われ、一直線に英雄に向かっていく。
 だが、動けなかったにも拘らず、最後の力を振り絞ってあずみは駆け抜けた。
 守るべき英雄の下へ。
 そうして、覇国の盾に成る様に跳躍しつつ、技の威力と英雄の間に無理矢理体を入れきった。

 ズッォオオォン!!

 巨大な技により、ほこりが舞っていく。
 煙が晴れた時には、そこは死屍累々だった。

 普通の手練れや武家の血を引く者達は全員、意識を手放し倒れていた。
 手練れメンバーでは心と、己が主の盾となったあずみとマルギッテ、そして家族を守った準の4人は完全に気絶していた。

 「準、準!」
 「ッ!・・マルさん、マルさん!」
 「あずみよ、大事ないか!?」
 『威力は弱めにしているから、そこまで痛めつけてはおらぬよ』
 「!?お、お前は・・!」

 3人とも自分を庇ってくれた者達を抱える様にしていたが、いつの間にか英雄のほぼ目の前に黒騎士が来ていた。
 そうして、黒騎士は英雄にランスの切っ先を突き付ける。

 『これでチェックメイト(チェック)だが、今降伏してくれれば貴殿を傷つけずに済む』
 「たわけ!確かにこの現状、如何見ても我らの敗北となるであろうが、わが身可愛さで降伏するほどこの九鬼英雄は姑息では無いわ!!」

 黒騎士に見下ろされる形とは成っているが、英雄は威風堂々と言い返す。

 『・・・・残念だ・・』

 その言葉と共に、突き付けていたランスを一度ゆっくりと引きながら、突き下ろした。
 これで川神学園サイドの敗北、と思われはしたが、ランスの付いた先には英雄は勿論の事、あずみの姿も消えていた。

 『・・・・・・・』

 そうして、確信をもって気配を感じる方へ向き直ると、英雄と気絶中のあずみがいた。
 そして――――。

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