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横浜事変-the mixing black&white-
田村要は自分の結論を汚れた世界に導き出した
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達が何か話していた。今なら狙える。そう感じて拳銃を向けた時、相手に気付かれた。彼らは二つのグループに分担して、一斉に駆け出した。一方が自分達に対し攻撃しているのは一目瞭然で、その一人が徐々にこちらに近付いている。

 「あ?あの髭野郎、銃向けられてんのが分からねえのか?」

 隣にいる殺し屋が手に持つ銃を連射させながら嘲笑と共に言葉を吐き捨てる。確かに、他の二人を置いて一人で接近しようなど無謀にも程がある。

 そこで要の視界にもう一方のグループが飛び込んでくる。一人は茶髪のモヒカン、もう一人は――

 ――あれ?

 ――なんだ、あの横顔……。

 モヒカン頭の後ろを走る殺し屋が、昨日目撃した制服姿の人物に似ている気がした。そう感じた要は、自分が憶測の中から掘り出した人物と脳内で照合してみる。

 ――やっぱり。

 ――あれって……暁ケンジだよ、な?

 語尾が怪しくなったのは、尚も信じられなかったからだ。クラスで見る温和な少年が、自分と敵対する殺し屋。そんな夢想にも近い現実があるのだろうか?だが、現にあの殺し屋の横顔は彼に酷似している。

 そのとき右耳の近くで自分の名を呼ぶ声がした。

 「田村!」

 「!?」

 いつもとは違う慌てた仲間の声に、要の反射神経が脳内変換を超えるスピードで起動した。
 右わき腹を(へこ)ませるようにして身体を九の字に折り、腸を狙った銃撃を躱す。要自身、どこから銃弾が飛び込んでくるのか理解していなかった。悪運とは恐ろしいもので、時に誰もが予想していなかった事態を引き起こす。

 それは相手にも同じようで、いつの間にか自分達と5メートル程しか空白を作っていなかった無精髭を生やした殺し屋は二ヘラと笑いながら要に声を掛けた。

 「おいおい、そこは避けずにちゃんと当たってくれよ。それが倫理ってもんだぜ?」

 「お前、どうやってここまで幅を詰めた。アンタこそ倫理を大事にしろよ」

 「俺はまあ、ちょちょっとやっただけだよ。で、ここからどうする?降参して話す気になる?」

 「何を?」

 「何をって……本部も他の連中も気付いてないだろうけどよ、俺は気付いて……っと!」

 敵が朗々と喋っている間に、要は相手の足目掛けて拳銃の引き金を引いた。だが無精髭はそれに気付き、勢いよく左足を上げて攻撃を避ける。相手は相当の手練れのようだ。常人ならば音速以上で放たれる銃弾を躱せたりはしない。

 「くそっ、こいつさっきから俺らの攻撃避けやがって!」

 隣で仲間の殺し屋が憎々しげに言葉を放つ。それに対して敵の殺し屋は笑いながら敵の脳天に狙いを定め――

 「――――」

 声もないままに絶息した仲間。そのとき要の視界には、額辺りから血の尾
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