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ソードアート・オンライン〜赤き皇が征く〜
str0『プロローグ』
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る存在と出会ったのは。

 
 とある男がいた。学生時代から莫大な資産を得、世界の技術開発の躍進に大きく貢献した稀代の天才科学者。名前は、茅場晶彦。
 この男が、あらゆる五感をシャットアウトすると同時に、仮想の五感を脳に与えることで、仮想現実世界へと使用者を誘うシステム――――《NERDLES》を開発したのだ。完全なる仮想世界への参入……人々が《フルダイブ》と呼ぶことになる技術の誕生である。

 これによって、人類は仮想世界への進出を果たした。 アミューズメントパークにフルダイブ用ゲーム機第一世代機が置かれ、様々な反響を呼ぶ。

 初めてその機械で仮想世界に入ったその時――――自分は、何かがカチリとはまるのを感じた。

「これだ」

 仮想世界(ここ)では、『解らなくたって構わない』のだ。虚構の世界。錯覚の世界。ならば、相手の心が解らなくたって大丈夫――――

 だから初のフルダイブ対応ゲームハード《ナーヴギア》が発売されたときも当然の様に買ったし、世界初の《VRMMO》なるジャンルのゲーム、《ソードアート・オンライン》も購入した。とくにSAOに関しては、たった千人しか選ばれないβテスターにも選ばれたのだ。

 人生で初めて自覚した、『疑問』以外の感情、『興奮』。それは心地よいものだった。βテストが終了し、アバターが消滅した際の感情、『喪失感』は、同時に『悲しい』『寂しい』をもたらした。

 ――――どうやら仮想世界は、予想以上に自分に良い影響を与えた様だ。

 最初は『人の心』から逃げるために足を踏み入れた仮想世界は、いつの間にか『人の心』を知るための物に変わっていった。

 そして。

 2022年、11月6日。ソードアート・オンライン、正式サービス開始日。

 運命の幕は、切って落とされた。
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