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ソードアート・オンライン〜赤き皇が征く〜
str1『監獄の始まり』
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そして迎えた2022年11月6日、午後1時30分。正式サービス開始。直後から9000人を超えるプレイヤー達がログインし、SAOに人々がどれだけ期待していたのかをあらわした。

 これから始まる楽園に、プレイヤー達が心を躍らせていた、その日。

 その、午後5時30分。

 全プレイヤーを飲み込んだ転移の光。連れてこられたのは第一層主街区、《はじまりの街》。その上空が真紅に染まり、そこから一つの巨大なローブ姿が現れたのだ。

 そして、がらんどうのローブは言う。

『諸君、私の世界へようこそ』

 と。

 ローブは自らが茅場晶彦であると名乗り、プレイヤー達にSAOデスゲーム化を宣言、現実世界からの助けは来ないことを告げ、全プレイヤーの容姿を、ナーヴギアが読み取った現実世界のそれへと置き換え、そして去った。

 ローブが消え去った後、プレイヤー達は絶望と恐怖におののき、泣き叫び、うずくまる。


 その渦中に、一人の青年がいた。

 黒い髪の毛に、鋭利な顔立ち。身長は165センチから170センチほどか。どことなく少女めいた線の細さもありながら、纏っている冷徹な雰囲気が、刀のような印象を抱かせる、その男。

 プレイヤーネーム《クロス》は、小さく、誰にも聞こえないくらいの声で、呟いた。

「……なぜ、だ?」

 クロスが疑問に思っているのは、デスゲーム化、というこの状況ではない。彼はしばらく前から、たった一つのことを検証し続けていた。

 茅場晶彦のチュートリアルのワンシーン。彼が、外部からの救出手段が存在しないことを示唆した場面。

 ナーヴギアのロックの解除、またはギア本体の破壊が試みられた場合。もしくは、2時間以上の電源・回線切断、がおこなわれた場合。ナーヴギアに搭載された大型バッテリーから流れ出た高出力マイクロウェーブが、装着者の脳を焼く。

 すでに茅場晶彦からの声明は全リアルワールドに向けて発表されており、リアルで待つ人々もこの事態を知っていること。

 だが、『既にナーヴギアの強制解除を試みた人間がおり、その結果、200人以上ものプレイヤーが犠牲になっている』こと。

 ここである。

 なぜ、ナーヴギアを解除してはいけない、と言われているのにもかかわらず、解除に踏み切った? ――――決まっている。解放の可能性が遺されているからだ。

 だが、なぜその可能性が絶対ではないと気付けなかった? いや、むしろそんなことがあるわけがないと、どうして気付けなかった? いったいどういう思いで、ナーヴギアを、取り外した? なぜ? なぜ? なぜ?

 不謹慎にも、それだけがクロスの胸中を占めている。

 それは、クロスがこの世界にやってきた理由とも直結する。

 クロスは
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