第十四章 水都市の聖女
第一話 死者と聖者
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オは涼しい顔で受け止め、口元に小さな笑みを浮かべた。
「そうでしょうか? たった一手であなたたちの力が使えるのならば、わたくしには悪手とは到底思えませんが」
「―――ほお」
無表情のまま、何処か感心したような、馬鹿にしたような声をセイバーが上げると、ガタンッ、と音を立てルイズが椅子から立ち上がった。会議室の全員の視線がルイズに向けられる。集中する視線にルイズは頓着する事なく踵を返すと、会議室のドアへと向かって足を動かし始めた。
「何処へ行くんだい?」
会議室を出ようとするルイズの背中にジュリオが声を掛けた。ルイズの足がピタリと止まるが、それだけ。振り返ることはなかった。
「部屋に帰るのよ。もう話すようなことはないでしょ。これ以上ここにいたら、色々と爆発してしまいそうなのよ―――分かるでしょ?」
傾けた顔から一瞬覗いたルイズの瞳には、地の底で蠢くマグマのような熱が篭っていた。それをまともに受けてしまったジュリオはこみ上げてきた悲鳴を何とか飲み込むと、微妙に引きつった笑み浮かべた。
「確かにそれは困るね。爆発するのは憎きガリアを前だけにして欲しいから。確かにもう今更説明するようなこともないし、帰っても大丈夫だよ」
「……ええ。帰らせてもらうわ」
ルイズの足が動き出し、白い服の裾が浮き上がる。
何時もの魔法学院の学生服ではなく、合わせ目にオレンジのラインが走った白い神官服に身を包んだルイズの姿が、扉の向こうに消えていく。ガチャリと音を立てて閉まる扉の向こうへと、ヴィットーリオは笑みを浮かべたまま声を掛けた。
「期待していますよ―――聖女ルイズ」
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