第十四章 水都市の聖女
第一話 死者と聖者
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来事だったため、もしかしたらと言う思いが消えない中、ルイズたちは聖堂内だけでなくロマリアの街を探すが見つからず、時間だけが無情に過ぎていった。何処を探しても見つからない。日が落ち、焦燥だけが募る中、ルイズ達が最後に頼ったのはブリミル教の頂点に立つ男―――ヴィットーリオだった。
だが、長い手続きを終えてようやく会えた最後の希望であるヴィットーリオから向けられた言葉は、ルイズたちの予想を遥かに上回る言葉だった。
―――エミヤシロウは、わたくしが“虚無魔法”でとある場所へと飛ばしました。
その言葉の意味がルイズは一瞬分からなかったが、直ぐさまその意味を理解すると、激昂と共にヴィットーリオへと掴みかかろうとした。しかし、事前に控えさせていたのだろう聖堂騎士が部屋へと雪崩込み、それは防がれてしまった。聖堂騎士と言う名の壁越しに睨み付けてくるルイズたちに向かって、ヴィットーリオは変わらない涼やかな顔で続けた。
―――エミヤシロウを何処へ飛ばしたかはわたくししか知りません。そして飛ばされた場所は、例え彼であってもここまで帰って来ることは不可能です。彼を返して欲しいのならば、わたくしたちに協力してもらいます。
否―――と、ルイズたちが口にする事が出来るわけがなかった。
その時から、ルイズたちはヴィットーリオの手駒と成り下がった。今のところ、トリステインの関係者で士郎が人質とされた事を知らないのは、セイバーを除く水精霊騎士隊の男子生徒四名だけであった。伝えたとしても、動揺して足でまといになる可能性があるということから、四人には士郎は特別な任務のため一時的に離れると伝えていた。
あれから二週間経つが、士郎が何処へ飛ばされたかは全くと言って不明であった。
タバサやキュルケ、コルベールも独自に動いていたが、士郎が何処へ飛ばされたかの情報は全く手に入れることが出来ないでいた。ヴィットーリオは自分の虚無の系統が移動に特化していると説明していた。そしてヴィットーリオのあの自信。士郎が自力で戻っては来れないと断言するところから考えるならば、最悪ハルケギニアどころかサハラを越えた場所にまで飛ばされている可能性がある。もしそうならば、ハルケギニアの者でも知らない土地から、異世界の住民である士郎が自力で戻ってこれる可能性はほぼ零と言ってもいいだろう。
だからこそ、ルイズたちは愛する男を奪われた憎しみと怒りを押し殺しながらも、ヴィットーリオの命令に従うはめとなっていた。
「人質とは―――その若さで教皇の地位に就いたにしては、随分と馬鹿な真似をしたな」
ルイズとは逆の位置であるアンリエッタの隣に座るティファニアの後ろ。そこに立つセイバーが、眼光鋭くヴィットーリオを睨みつけた。怒りに包まれた清廉な声が刃となって突き刺さるが、ヴィットーリ
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