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剣の丘に花は咲く 
第十四章 水都市の聖女
第一話 死者と聖者
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キロ程離れた位置にある街アクレイア。ガリアの国境付近にあるその街において、明日から二週間に渡り教皇の即位三周年記念式典が行われる予定であった。
 記念式典とは言うものの、何か特別な催しがあるわけではなく、ただ式典の二週間に渡り、教皇は数人の神官と巫女と共に祈りを捧げ続けるだけである。しかし、祈りを捧げる教皇の姿を一目見ようと、ハルケギニアの各地から何万もの信者たちが押し寄せ。更にその信者相手に商売をしようと商人たちやただの物見遊山等様々な人がこのアクレイアへとやって来る。その総数は十万にも届くかもしれず―――その中には確実に教皇に対し害意を持つ者がいる。
 その後ろで糸を引く者こそガリア王ジョゼフ。
 ハルケギニア全土の支配を企んでいるだろうガリア王ジョゼフを打倒するため、予想される教皇の暗殺を逆に利用し、ガリアの横暴を封じ込めようとする作戦が行われようとしていた。その作戦のための会議が、記念式典を明日に控えた夜、アクレイアの聖ルティア聖堂において行われていた。
 会議に出席する者は、今回の作戦を知る者たちとその作戦を実行するものたちの主要メンバーたちであった。
 トリステインからは―――アンリエッタ、ルイズ、ティファニア……そしてセイバー。
 ロマリアからは―――教皇ヴィットーリオとジュリオ。
 そしてアクレイアの市長と聖ルティア聖堂の大司祭。
 この合計八名の間で会議は行われていた。
 アクレイアの代表として会議に出席している市長と大司祭に対しては、混乱を控えるためガリアが狙っているものが“虚無の担い手”ではなく教皇と伝えている。と、言うよりも、この会議自体が市長と大司祭を騙すための演出のようなものであった。アクレイアにおいてガリアが何かを起こすのは間違いないが、それが一体どんなものなのかは分からない。もしかすると見物客もまとめて巻き込むような方法を取る可能性もある。ならば人手が大いに越したことはない。アクレイアの協力を取り付けるため、“教皇暗殺”が図られているという嘘ではあるが本当でもないどうあっても断れない事を盾に、市長と大司教の協力を取り付けたのである。
 そして今、教皇暗殺を防ぐための計画をジュリオから説明を受けた市長と大司教は、計画の磐石さを知り安堵すると、明日から始まる式典の準備があると会議室から出て行ってしまった。
 残されたのは、ロマリアとトリステインの関係者だけ。
 さて、ここから本当の作戦会議(・・・・・・・)が始まるのかと思いきや―――そうはならなかった。

「―――ガリアが軍を動かす可能性はあるのか」

 声を上げたのはティファニアの背後に控えるように立つセイバーだった。
 セイバーは冷ややかな視線の先には、大きな丸いテーブルを挟んだ向かいに座るヴィットーリオとその背後に立つジュリオの二人がいた
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