第十四章 水都市の聖女
第一話 死者と聖者
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得て、真実を手にした。
そう―――反乱とは真っ赤な嘘であり、全てがロマリアへの領土的野心を抱いたジョゼフの陰謀である、と。
その事実にカステルモール率いる東薔薇騎士団は激昂した。
同盟国に対する騙し討ち等という非道、もし露見すればガリア王国は消えぬ汚名を刻まれることとなる。そのようなこと、許される筈がない―――決起の時は今と、カステルモールは決意した。
サン・マロンへ向かうと見せて、カステルモール率いる東薔薇騎士団は夜の闇に紛れてリュティスへと引き返した。時間は掛かったが、何とか夜が明ける前にはリュティスへと戻ることが出来た。戻る途中、協力者である各連隊へ急使を送り、既に三つの連隊から協力の確約を取り付けている。日が昇る頃には、その三つの連隊もここリュティスへと到着するだろう。上手く事が進めば、三日後には、トリステインに亡命している亡き主の一人娘であるシャルロット様を玉座へと迎える事さえ可能かもしれない。
亡き主―――オルレアン公の面影が残すシャルロット様が玉座に座す姿を思い、カステルモールは何時ぶりかになる笑みを口元に浮かべた。
そして、石壁の向こう―――王宮へと険しい目で睨みつけたカステルモールは、杖を高々と掲げた。
「さあっ! 行くぞ諸君ッ!! 簒奪者から玉座を取り戻し、正当なるお方へとお返しするためにっ! 各々ガリア花壇騎士として誉れを魅せろッ!!」
―――オオオオォォォォォォッ!! という地鳴りに似た歓声と共に、次々に騎士団は“フライ”を唱え石壁を飛び越えていく。静まり返った夜に騎士団の歓声は良く響き、降り立った東薔薇騎士団の騎士たちの前には、異変に気づいた警備の兵たちが集まってきていた。だが、もはや勢いづいた東薔薇騎士団を止められるような者などいるわけがなく、立ち塞がるものを全て吹き飛ばしながら彼らは一直線に目的の場所へと向かう
―――怨敵ジョゼフが眠るグラン・トロワへと。
――――――――――――――…………。
玉座に腰掛けたジョゼフは、目を閉じ耳に当てたオルゴールの奏でる音に聞き入っていた。
力の抜けたその姿は、今にも鼻歌を歌い始めそうなほどだ。始祖の調べに浸っていたジョゼフは、ゆっくりと目を開き始める。天を見上げる眼差しの先には何も映ってはおらず、空虚な色をたたえていた。
何も映さない瞳のまま、ジョゼフは何かに誘われるかのように唇を開き始める。しかし、それがナニカの形を作る直前、玉座の間に衛士を連れた大臣が息を切らしながら飛び込んで来た。
虚空を見つめていた目がゆっくりと下へと向かい、汗を拭う大臣へと向けられる。
「へ、陛下っ、た、たた、大変でございますっ! む、謀反が、謀反が起こりましたっ!」
慌てて玉座の前まで
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