第一章
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構淡白な未来であった。あまり欲のないタイプなのだ。
「それでも真心は欲しいかしら」
「それって結構難しくないか?」
光男は真心と聞いて首を傾げながら述べた。
「かえってわからないんだけれど」
「とにかく心の篭ったものが欲しいのよ」
未来が言いたいのはそこであった。
「それでいいかしら」
「わかったよ。僕もそういうのが欲しいんだけれど」
「任せておいて」
ここでにんまりと笑う未来であった。蜜柑の袋を右手に楽しそうに笑う。
「もうとっておきのを用意してあるんだから」
「そうなんだ」
「後はあんたよ」
そのうえで彼に言う。
「わかったわね」
「わかったよ。じゃあ何か考えておくよ」
「期限はクリスマスまで」
これはもう規定事項であった。クリスマスプレゼントにそれより遅れては何にもならない。これについてはもう言うまでもないことであった。
「わかったわね」
「わかってるさ。フライングもなしだよね」
「勿論」
クリスマスプレゼントはここが難しい。クリスマスより前でも後でも渡す日は駄目なのだ。クリスマスでなければ駄目なのである。ここが重要なのだ。
「それじゃあいいわね」
「わかったよ。じゃあクリスマスにね」
「期待してるから。あんたも期待しておいて」
未来は蜜柑を食べ終えて言う。
「いいわね。とりあえずは」
「とりあえずは」
「これ。あげるわ」
蜜柑を一個剥いて。それを彼の側に置くのだった。
「仕事が終わったら食べて。それでいいわね」
「ああ、有り難う」
剥かれた蜜柑を前にして礼を述べる。
「じゃあ後で食べるよ」
「ええ、それじゃあね」
そこまで言うとコタツから出て立ち上がる。赤いセーターに黒いミニスカート、そのスカートの下に黒いズボンを履いている。そこに白いコートを羽織るのだった。中々さまになっていた。
「今日はこれでね」
「泊まっていかないの?」
「こっちもそれでやることがあるから」
クリスマスプレゼントのことらしい。それについて言う。
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