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遊戯王GX 〜プロデュエリストの歩き方〜
エピソード25 〜兄VS弟 決着〜
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「ぱ、パワー・ボンド…………いいんすか、まだ僕が使えるようなデュエリストになって……」

翔は昔怒られた時の記憶がフラッシュバックしたのか急に臆病になる。

「僕があそこまで戦えたのは紫苑さんがデッキを改善してくれて、アニキや隼君たちが僕を応援してくれていたからだっす。……だから」

「僕の実力じゃない、なんて言わないよな?」

翔の言葉を遮ったのはあろうことか紫苑だった。翔は紫苑が怒ったと早とちりし、びくびくとするがその逆で楽しそうな表情をしていた。

「いくらデッキを改善しようが、応援してもらおうがデュエルするのは結局のところおまえ一人でやるだろ?だから、あそこまで兄に渡り合えたのは他人のおかげじゃなくて自分の実力なんだよ。」

「け、けどいつも負けばっかりの僕がこんなにもお兄さんと渡り合えるわけ……」

翔の弁明を聞き、すこしムッとする紫苑。ここに来て翔はまたネガティブ精神が戻ってきたらしい。

「けどもくそもない。あれが本来のお前の実力なんだよ。いつもは悪い方に思考が偏ってるから、プレイングにもミスが出る。けど、今回はそれがなかったから実力が十分に発揮できた。それだけ、だろ?」

ニッと紫苑が笑みを浮かべてそう言うと翔は頬を少し赤らめ俯いてしまう。

(うぅ……あんな笑顔で言われたらそう思うしかないじゃないすか……あの笑顔は反則っす)


そんな彼の目の前に一枚のカードが差し出される。それを差し出しているのはやはり紫苑だった。

「【極戦機王 ヴァルバロイド】。これって……。」

渡されたカードを見て、目を見開く。

赤をメインカラーとしたそのモンスターは翔のエースモンスターであるステルスユニオンと負けず劣らずの存在感を放ち、数多の戦を駆け巡った王の風格を放っている。

「いいんすか、このカードを貰って……」

「ああ、元々は翔が丸藤先輩とのデュエルでマトモに渡り合えたら渡すつもりだったからな。駄目出しの点は幾つかあるけど、いい勝負だったぞ。」

(お兄さんが、紫苑さんが認めてくれた……。そして、このカードを託してくれた。なんだろこの気持ち……)

自分が尊敬してやまない人物に認めてもらい今までに感じた事がないような満足感に胸がいっぱいになり、どんな反応をすればいいのかわからなくなる。けど、これだけは言える。

(もっともっと頑張って、色んな人に認められるくらい強くなってやろう)

このデュエルを通して、翔の意識が大きく変化した瞬間だった。結果的には負けてしまったとは言え、恐らく翔の兄への依存は消え、そしてもっと強くなろうというハングリー精神が芽生えた。これは翔の大きな進歩であり、そして紫苑の思惑通りにとなったのだった。



兄対弟のデュエルから一日後…
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