第七楽章 コープス・ホープ
7-3小節
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鋭の源霊匣開発者に新聞記者、女学生、隣国の宰相閣下、さらに――
「まさかあなたがスヴェント家のご子息とは思いませんでしたわ」
ヘリオボーグの丘へ登りながら、アルヴィンさん――いいえ、Mr.スヴェントと呼んだほうが、わたくしにはしっくり来ますわね――とにかく彼に水を向けた。
「今はただの果物商人だよ。おたくこそ実家が有名なファッションブランドのくせに」
「うちは細々と商っているだけの洋服屋ですわ」
「ご謙遜を。俺も持ってるぜ、あんたの実家のスーツ」
「お買い上げありがとうございます」
なんて、言い合う内に丘の上に到着しました。
丘からはヘリオボーグの荒廃した原野が一望できる。《レコードホルダー》によると、1000年以上前だけれど、ここにも文化都市はあったんですって。今ないということは、黒匣によって滅んだということでしょうけど。
あら? Dr.マティス、顔色が悪いですよ?
「ここに次元の裂け目があったよな?」
Mr.スヴェントが彼らの輪の中に入る。明らかに、何かの話題を変えるためだった。
「断界殻が消えた時に、なくなっちゃった?」
「元々存在しなかったのかもな。考えてみろよ。ここじゃジランドがエレンピオスで暮らしてたんだぜ」
「ありえるね……ここはまだ断界殻があって、次元の裂け目が開いていない。リーゼ・マクシアとエレンピオスが分かれたままの分史世界なのかも」
ルドガーが納得顔。本当に理解していて? これはわたくしたちエージェントにとって重大な問題ですのよ?
カナンの道標は一つを除いて全てがリーゼ・マクシアにあります。つまり、こんなふうにリーゼ・マクシアと隔たれた分史世界では、道標は回収できません。
せっかく道標存在確率:高の分史世界だというのに。どうやってリーゼ・マクシアに渡れば……
突如として空に青く輝くオーブが二つ現れた。
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