暁 〜小説投稿サイト〜
クルスニク・オーケストラ
第七楽章 コープス・ホープ
7-3小節
[2/2]

[8]前話 [9] 最初 [2]次話
鋭の源霊匣開発者に新聞記者、女学生、隣国の宰相閣下、さらに――

「まさかあなたがスヴェント家のご子息とは思いませんでしたわ」

 ヘリオボーグの丘へ登りながら、アルヴィンさん――いいえ、Mr.スヴェントと呼んだほうが、わたくしにはしっくり来ますわね――とにかく彼に水を向けた。

「今はただの果物商人だよ。おたくこそ実家が有名なファッションブランドのくせに」
「うちは細々と商っているだけの洋服屋ですわ」
「ご謙遜を。俺も持ってるぜ、あんたの実家のスーツ」
「お買い上げありがとうございます」

 なんて、言い合う内に丘の上に到着しました。

 丘からはヘリオボーグの荒廃した原野が一望できる。《レコードホルダー》によると、1000年以上前だけれど、ここにも文化都市はあったんですって。今ないということは、黒匣(ジン)によって滅んだということでしょうけど。

 あら? Dr.マティス、顔色が悪いですよ?

「ここに次元の裂け目があったよな?」

 Mr.スヴェントが彼らの輪の中に入る。明らかに、何かの話題を変えるためだった。

断界殻(シェル)が消えた時に、なくなっちゃった?」
「元々存在しなかったのかもな。考えてみろよ。ここじゃジランドがエレンピオスで暮らしてたんだぜ」
「ありえるね……ここはまだ断界殻があって、次元の裂け目が開いていない。リーゼ・マクシアとエレンピオスが分かれたままの分史世界なのかも」

 ルドガーが納得顔。本当に理解していて? これはわたくしたちエージェントにとって重大な問題ですのよ?

 カナンの道標は一つを除いて全てがリーゼ・マクシアにあります。つまり、こんなふうにリーゼ・マクシアと隔たれた分史世界では、道標は回収できません。
 せっかく道標存在確率:高の分史世界だというのに。どうやってリーゼ・マクシアに渡れば……

 突如として空に青く輝くオーブが二つ現れた。
[8]前話 [9] 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ