第08話 エル・ファシル
[2/3]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
男がデスクに置かれた脱出計画書を読み始めた。
「君、これは良く出来ている。リンチ少将、これなら安全に脱出できます。」
リンチ少将はモニターから視線を男に向けた。
「どういう事だ!」
「この脱出計画通り事を運べば、安全に脱出できます。その為には囮となる部隊が必要です。徹底的に逃げる振りをして、敵を誘引すれば可能性が上がります。」
男の言葉でリンチ少将は、少し冷静さを取り戻した。
「我々が囮となって敵を誘引しましょう。その間に脱出して下さい。」
リンチ少将と男は詳細に話し合った。
「確かにそれなら脱出の可能があるかもしれんが、囮となった者は死ぬかもしれんぞ。」
「私達は民間の警備会社の人間です。民間人を守れなかったら、この先私達だけではなく会社自体の信用を失います。」
「リンチ少将には軍人として民間人を守って脱出して下さい。」
Sideout
その後、囮となった警備会社の艦艇が同盟軍を装って脱出した。
待ち構えていた帝国軍を見事に誘引して一隻以外の艦艇が全て撃沈された。
その間に民間人300万人を引き連れて逆方向に遠ざかる同盟軍艦艇があった。帝国軍はレーダーに捕えていたがレーダーに映るのは隕石だろうと判断した。普通の戦闘艦ならレーダー透過装置でレーダーには映らないと思い込んでいたからだ。
■帝国暦479年 、宇宙暦788年 8月23日
エクリプスの警備会社がエル・ファシルの星域近くにいた警備部隊を集めて、エル・ファシルを奪回した。
■帝国暦479年 、宇宙暦788年 9月10日
同盟軍の失態を誤魔化す為、ヤン・ウェンリーを英雄として発表した。
■帝国暦479年 、宇宙暦788年 9月19日
ヤン・ウェンリーは10:25に大尉に昇進、16:30に少佐に昇進した。
不文律により生者の2階級特進は許されない為、時間を分けて昇進した。
■帝国暦479年 、宇宙暦788年 9月24日
エクリプスの警備会社が事の顛末を発表した。
警備会社の社員が囮役を行った事、エル・ファシルの奪還に成功した事、囮役の社員も無事保護したことも全て映像付きで放送した。
社員のコメントも流した。ヤン・ウェンリーの脱出計画の素晴らしい事を含めて、その作戦があったればこそ警備艇を遠隔操縦で操って無事に全員が脱出できたと。
この放送が流れてからエクリプスの警備会社の信用が高まった。一方で政府発表の信用が失われた。
■帝国暦479年 、宇宙暦788年10月 1日
若手の国防委員が国防委員長が政府の都合の良いように戦果を報道していると告発し、マスコミの前で辞表を提出した。若手の国防委員は証拠として過去の戦役の詳細をマスコミに提出した。
マスメディアはセンセーショナル
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ