暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン〜黒の剣士と紅き死神〜
アリシゼーション編
第一章?七武侠会議編
狼煙
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れはわたしの中にしまっておきたいの」

木綿季をデッキの端に引っ張って行き、小さな声で話しかける。もう、隠しはするまい。私は……彼が好きだ。
あの時、私が正気を失った時、彼は全力で止めようとしてくれた。その時の記憶が戻ってきたのは昨日の夜で、私は驚きと共にそれを繰り返し再生していた。そして真剣な顔で必死に、何度も何度も呼び掛けてくれる彼を見た。
一目惚れだった恋心はいつの間にか本気の想いに変化していた。ただでさえ苦しかったこの気持ちはもう整理がつかず、胸の苦しさに耐えるのに必死だった。
木綿季はまだ出会ってから1日の赤の他人と言っても違いない存在。でもそれは螢さんも一緒で、彼らとは短くても濃密な時間を過ごした。木綿季は大切な友達。螢さんは代え難い想い人。でも螢さんは大切な友達の彼氏で……2人は余人の立ち入る隙もない睦まじさ。
だから、諦めるしかないのだ。まだ一夜の思い出と割り切って戻れるだろう。彼と木綿季の為に、2人の縁は乱してはいけないものだから。
私が何とか言葉にした、その告白を木綿季はキョトンとしながら聞くと、ニコッと笑った。

「何だ、そんなこと?」
「そ、そんなこと?」
「関係無いよ。友紀奈が螢の事好きでもボクは別に良い。むしろ、その……ボクは、友紀奈の事も大好きだから、その大好きな友紀奈も螢の事を好きって言ってくれたら嬉しい、かな?」
「…………」
「へ、変かな?」
「……ううん、ちょっと変わってるかな、と思うけど……そんな考え方もあるんだなって……」
「あー、うん。何だろうね……ボクも、螢の事好きで独り占めしたいって思う事もあるけど……最終的に螢はボクの所に戻って来てくれるって信じられるんだよね」
「そ、それは凄い信頼だね」
「うん、信じてる」

本当に……本当に凄い。一片の曇りも無い信頼を寄せる木綿季とそれに応える螢さん。そんな2人だからこそ、私は惹かれ、憧れたのかもしれない。

「じゃあ……私、言っちゃうよ?」
「いいよー。何て言われるかは分からないけど」
「う……それが一番心配」
「でも螢がきっと面白い顔するだろうからそれが楽しみだな〜」
「うわ、木綿季それ何か悪女みたいなセリフ」
「ボク達にこんな心配されて想われてるのに気付かない螢が悪い」

そんな話をしながら振り向くと、螢さんがうんくさげに眉を寄せ、こっちを見ていた。
それを見て、私と木綿季はまた笑いあってから螢さんに近づいて行く。
それぞれに大切な想いと、私はもう一つ。

未来への『約束』を抱えながら……。


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