アリシゼーション編
第一章?七武侠会議編
狼煙
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きたユウキが後ろからユキナに斬りかかる。狙いは剣を持つ左腕。
「ハァッ??」
「……ッ!」
ユウキの接近に気付いたユキナが俺を離し、大幅にその場を離脱する。
どうやら戦闘力が殆ど削がれている俺より、ユウキの脅威の方が上だと判断したようだ。そして、その判断は正しい。
正しいが、その判断は遅すぎた。
「どうだ、ユウキ。慣れたか?」
「全くもう!何時もそうやってレイは無茶する!」
「良いだろべつに。死ぬ訳じゃあるまい」
「……命が掛かっても無茶するクセに」
「そんな事は……まあ良い。恐らくアレに、フルダイブは関係無い。ユキナ自身に原因があると見た」
「じゃあここでログアウトしてユキナからアミュスフィアを取るのは止めておいた方が良いね」
「そうだ。あの剣を取り上げ、ユキナを止めてくれ。後は俺がやる」
「分かった!」
俺が僅かに下がると同時に前へ出たユウキにユキナは完全に狙いを定めたようだ。鋭い目つきをしたその瞳の奥には相変わらず不気味な光を宿し、剣からは薄紫色の燐光が溢れていた。
(……初期ステータスのスキルではない。つまり、あれもシステム外の力。原因はユキナ自身か……いや待てよ?あの光……どこかで……)
喉元まで出かかったそれを、もどかしく感じた。
急速接近からの斬り上げを、体を捻って回避する。翅を震わせてユキナの頭上を取ると、今度は逆にこっちから攻めて行った。
「ウゥッ??」
端整な顔を歪めながらユキナはそれを受け、受け止め切れず地面へ押されていく。
「ユキナ!一体、どうしたの??」
もう一本の右の剣でユキナのガードをブレイクし、アスカロンでソードスキルを発動する。
古代級武器のアスカロンは初期装備のスモールソードとは比べ物にならない性能を持っている。ソードスキルを発動し、打ち付ければ一撃で砕いてしまう程の差があるのだ。
あの不気味な光を放つ剣さえ何とかすれば後はレイに考えがあると言っていた。
ユウキはレイを信じ、ユキナから剣を奪う事に全力を向ける。レイがどうするつもりなのかは知らない。だが、それはきっとユキナを元に戻す為に必要な事で、自分には計り知れない深い思考の末の結論なのだと思っている。
この世界でたった一人、自分が好きになった人。信頼の置けるパートナーの言う事なのだから、信じない訳が無い。
ある意味盲目的な信頼とも言えるこの想いは雑多な思考を隅にやり、ユウキから迷いを消し去っていた。
故に、ソードスキルを発動したアスカロンがユキナのスモールソードと打ち合い、スモールソードが破壊されずに鍔迫り合いになってもユウキは動揺しなかった。
"破壊されなかった"という結果が出る前にユウキは直感でこの事を予期していたからだ。
自分
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