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あかつきの少女たち Marionetta in Aurora.
03
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の運用に踏み切らなかっただろう。それほどまでにイタリア政府に大きな影響を及ぼした人物である。

「彼は起こしたテロで、世界中にメッセージを送ったんだ。『戦え』とね。そして、そのメッセージを受け取った人たちは戦闘を始めた。我々もイタリアに続け、と。ジャコモのテロ自体は失敗したけれど、彼が撒いた火種は、着実に世界中に燃え広がっている。イギリスのIRAやスペイン・フランスのETA、コロンビア革命軍、そして中東地域のイスラム系武装組織」

 一旦区切り、ホモイトモカで舌を湿らす。

「中東でテロ組織が活発化したのがまずかった。他のテロ組織と違って、中東のそれは規模が桁違いに大きい。何とかしないといけないけれど、英仏西は自分の国が忙しい。イタリアは五共和国派との戦いが終わったばかり。すると動ける大国はドイツだけだけど、一国だけで行くのは嫌だから、出来ればアメリカを引っ張り出したい。
一方アメリカは、今軍事費を削減している真っ最中。またイラクの時みたいな泥沼の対テロ戦争に突入するのは避けたい。とは言えイスラム系テロ組織は反米を謳っているから、野放しには出来ない。ではどうする?」

「わかりません」

「アザミちゃん考えようともしなかったね……。まあ、ドイツと同じだね。参加者を増やして自分たちの負担を軽くしようとした。そして、アメリカのスケープゴートとして選ばれたのが、日本だ。
日本は今年集団的自衛権の行使容認を認めたから、アメリカが戦闘に参加すれば、日本も一緒に行かざるを得ない。これまで資金援助と後方支援のみを行ってきた日本が、とうとう戦争に参加することになる」

 そして常盤は、外の群衆を指差した。

「そしてこれは、いわゆる左派デモだ。日本のPKO活動参加反対の人たちだね」

「話めっちゃ逸れた上に長いですね」

「ご、ごめん……」

 しょげる常盤を無視して、アザミは話を戻した。

「それで、扇動家がどうしたんですか?」

「ああ、うん。日本ではデモ行進ってあんまり派手にならないんだ。警察が取り囲んで監視してるから、みんな結構冷静だ」

「でも、私が知ってる限りでは、デモって最終的に暴動に発展しているの多いですよ?」

「それはここ最近。ちょうど君たちが作られたくらいからのことなんだ。見てごらん。もう誰かが石一つ投げたら、デモ隊と機動隊の衝突が起きそうなくらい緊迫してる。少なくとも、ここ数十年はあんまり無かったことだ」

「つまり、扇動家がデモ隊を煽っているんですね」

「そういうこと。デモに参加する人たちは、多少の差はあれ心の中に怒りを持っている。扇動家は集団意識を利用してそれを突き、心のタガを外すんだ。これも一つのテロの一環だね。まあ扇動家はテロリストに雇われているだけだけど」

「なるほ
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