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あかつきの少女たち Marionetta in Aurora.
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だろうが。万が一誰かに聞かれた時の保険程度だろう。
前を歩く二人組は、どんどんと秋葉原の街を進んでいく。中心街からは少しずつ外れ、人気も徐々に疎らになってくる。ここまで来るとサブカルチャーの街という風でも無くなってきた。
「でも現実に犯罪やテロはありますよね」
モモは話を続ける。
「そういう危ないものを、水面下で全て一身に背負うのが公務員だ」
「何だかそれ格好いいですねクラマさん」
モモは嬉しそうにピョンピョン跳ねた。
「じゃあ私も公務員ですか?」
「扱いとしては、公務遂行上の備品だろうな」
「備品っすか」
「そうだ。事務所のコピー機とかシュレッダーと一緒だな」
「もしかして、コピー機達にも私たちみたいに名前とかあったりしますか」
「勿論だ。今度紹介してやる……っと、連中止まったな。このまま歩き続けろ。話も止めるな」
二人組が寂れたテナントビルの前で立ち止まった。玄関前に設置された自動販売機を眺める振りをしながら、周囲の様子を窺っている。ブルゾンが前を、パーカーが来た道を警戒している様子だ。
パーカーの男の目が、二人を追っていた蔵馬たちに向けられた。
男の緊張が籠ったヒリつく視線を感じながら、蔵馬は歩みを停めずに話し続ける。
「まず一人目がブル。こいつはパッと見厳ついが、実は凄く優しいし冗談も通じる。二人目はモール。彼は見た目も性根も温厚そのものだが、冗談は嫌いだ。三人目のハンブルはのんびりした奴だ。お前とは気が合うかもな…………よし止まれ」
話しながら二人組とすれ違い、そのまま次のブロックの角で曲がってから、ようやく蔵馬は足を止めた。
「……今の人たち誰です? ブルとかモールとか」
「コピー機さんとシュレッダーさんとコーヒーメーカーさんだ。うちのエースだからよく覚えとけよ」
蔵馬はポケットからスマートフォンを出して、カメラアプリを起動させる。レンズをビルの角から覗かせ、男たちがいる道路の写真を撮った。
取れた画像には二人組は映っていない。既にビルの中に入ったのだろう。
アジトは突き止めた。これからが正念場だ。
「よし、行くぞ」
ビルの内部は驚くほど暗い。北南東の三方を他のビルに囲まれて、日光はほとんど入ってこない。節電の為かそれとも切れているのか、天井の蛍光灯も点いていなかった。西側の窓からの外の光が、唯一の光源だ。
蔵馬は玄関を入ってすぐの所にある階段にモモを置いて外と上階を見張らせ、自身は一階の探索に回った。腰のホルスターからP220を抜いて、サプレッサーを取り付ける。
階段の奥にはエレベーターがあり、最上階の五階に止まっている。恐らく二人組はそこにいるのだろう。
長方形の敷地を持つ
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