暁 〜小説投稿サイト〜
あかつきの少女たち Marionetta in Aurora.
02
[3/7]
[8]
前話
[1]
次
[9]
前
最後
最初
[2]
次話
尾行している最中だ。
昨夜の捕り物で得た情報で、今日テロリストの会合があることを掴んだのだ。
諜報部の調べでは情報交換程度の小さな集会らしい。だから今回は蔵馬とモモの二人だけだ。モモのタボールも目立つので置いてきた。
浅草の東横インから出てきた彼らの後ろを着かず離れず追って、秋葉原までやってきたのだ。
「あの人たち、秋葉原で何するつもりなんでしょう?」
「会合だ。ブリーフィングで言ってただろう」
「こんな人の多い場所で、ですか?」
モモが首を傾げ、黒髪がさらりと揺れる。
「ああ。連中は秋葉原を好む。あいつらが街中で何を言ってても、誰も気にしないからな」
「どうしてですか?」
「あいつらがどんな物騒なことを言っても、漫画かアニメの話だとしか思われないからだ」
「……?」
モモは首の角度を深くする。
内緒話はあえて人の多い所で、というのはよく言われる話だが、実際ただ人の多いだけの場所では、話す内容によってはかえって目立つこともある。何かを話すにもTPOを弁えなければならないのだ。
蔵馬がそう教えると、モモはよく分かってないのか変な表情でフムフム頷いた。
「分からないならそう言え……。まあ例えるなら、混んでる動物園のちびっ子ふれあい広場で日本でAAV-7の運用を運用する上での課題は、なんて話をしてたら逆に目立つだろ?」
ちょっと例えが下手すぎた。
昔から人と話すのは得意な方ではなかったし、まして子供の相手などしたことがない。こういう時にはどういう風に言って聞かせればいいのだろうか……。
「何と無くですけど、分かりました」
「本当かよ……」
彼女ら義体には、意識下に主だった兵器の情報が一通り刷り込まれている。むしろ今のような例え話の方が、分かりやすかったのかもしれない。
「話題にも相応しい場があるのは分かったんですけど、秋葉原だと大丈夫っていうのがよく分からないです。こんなにたくさん人がいるんだから、少なからず不審に思う人がいるんじゃないんですか?」
「その辺は生後半年のお前には少し実感がないだろうがな、日本って国は、少し前まで本当に平和だったんだ」
「平和?」
「この国じゃあ、今もそうだが、国防意識というものがほぼ皆無と言っていい。いや、国防レベルまで話を大きくしなくてもいいな。みんな自分が犯罪に巻き込まれるかもしれない可能性すら、考えもしない。暴力事件ってのは、それこそ遠い世界――漫画やアニメの中でしか普段は目にしない物だったんだよ」
「だから襲撃だとか爆破だとか言っても、まず漫画の話だろうと考えちゃうんですね。この街では特に」
「そういうことだ」
さすがにテロリストも、往来でテロの計画内容を話したりはしない
[8]
前話
[1]
次
[9]
前
最後
最初
[2]
次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]
違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
しおりを解除
[7]
小説案内ページ
[0]
目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約
/
プライバシーポリシー
利用マニュアル
/
ヘルプ
/
ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ