第17,5話 奇襲的外交、そして…
[1/7]
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
第17,5話 奇襲的外交下
「私たちがしたいのは科目についての話よ。勝負の形式なんかそっちに任せるわ。」
「解りました。では、私と致しましては最初の一騎打ち二試合の科目を決めていただけるのでしたらお譲りいたします。ですが二つほどお願いしたいことが」
木下さんの(言い方は悪いが)粗野な態度をとられても丁寧な物腰を決して崩さない、それどころかその顔には微笑みを浮かべ続けている。
心が広いのか、それとも我慢強いのか、それとも使命第一に考えているのか。
彼女には大変失礼だが、その口元に絶えず浮かべている笑みが彼女の存在をより一層不気味なものにさせている。
交渉の席についている僕らAクラスの三人を一人で圧倒している彼女は希代の外交家になれるのではないだろうか。
「へぇ、何がお望みなの?」
表面は相変わらずの木下さんだけれども足が少し震え始めている。
「まず一つ目にです。この戦いの後勝敗を別として十週間、相互不可侵の「お約束」はいただけませんか。」
約二ヶ月間の不可侵条約って妃宮さんは一体何を考えているんだ。
しかもそれを口外するなってことか?
いったいなんだってそんな要求をするんだろう。
Aクラスがこの戦いに勝った場合、Fクラスは設備を一段階落とされ、Fから宣戦布告をする権利を二ヶ月失う。
対してFクラスが勝ったらAクラスはFクラスとの設備交換が待ち受けていて、今度はAから宣戦布告の権利が二ヶ月失われる。
つまり、この密約が結ばれたとしても実質彼女たちにとって本当に意味があるのは二ヶ月が過ぎてからなんだ。
そんな長期的な戦略を練っているとするなら、どうして今Fクラスは動いているんだ。
「………一つ聞かせて欲しい。」
「何でしょうか?」
「………それは貴女の考え?」
「代表の考えでもありますね。」
そう言って面白そうに笑っている妃宮さんと何事かを考えている俯いたままで身動き一つしない霧島さん。
一年の時も同じクラスだったけど、彼女が考えごとをしているときは他の事を殆どしなくなる。(そのことに対して過去に彼女が言った『息はしている』とは彼女渾身のジョークだろうと僕は思っている)
「………解った。受け入れる。」
「ありがとうございます。」
「ちょっと代表!!Fが何考えてるかも分からないのに受け入れるの?」
「………妃宮さん、そっちの代表に伝えて。私はそんな事はしないって。」
その言葉に妃宮さんのさっきまでの微笑みが深まる、まるでいたずらがばれてしまった子供のような表情とでも言おうか。
「畏まりました。」
対して霧島さんは滅多に見せない笑顔を少しだけ表に浮かべ、見破ったことを誇らしげにしているように見えた。
「………それから、もう一つは何?」
僕と木下さんの背筋が再び正される。
この何を考えているのかアルカイック
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ