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三色すみれ
第七章
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気はしていない先生であった。別に二人を叱る気もなかった。何故なら全ては真夏の夜の夢のことであるからだ。シェークスピアの魔法のせいだからだ。
「さて、と」
 二人のクラスの女の子達は得意満面であった。
「これでいいわよね」
「ハンバーガーね」
「それかラーメン」
「ちぇっ」
 男達は彼女達のにこやかな顔を見て思わず悪態をついた。
「何でこんなことになるんだよ」
「幾ら何でも有り得ないんだろ」
「悪いけれどこれが現実なのよ」
 例の中心人物もまた誇らしげであった。その顔で男組に告げる。
「もうちょっと女を勉強しなさいって」
「勉強してわかるものかよ、これって」
「センスも必要ね」
 彼女はいささか難しいことを述べてみせるのだった。
「センスがないと女ってのはわからないわよ」
「何だ、それって」
「滅茶苦茶じゃねえか」  
 男達はそれを聞いてまた悪態をつく。
「それで負けるなんてよ」
「何か腑に落ちないな」
「けれど負けは負けよ」
「そうよ。観念しなさい」
 女組はそんな彼等に対して上機嫌で言い返す。実に気楽なのは彼女達がおごってもらう立場だからである。実に簡単な話であった。

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