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三色すみれ
第六章
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「何てこった」
「マジかよ」
「わかったな」
 真琴は遼平の耳元でまた囁いた。遼平は少し我に返ってそれを聞いていた。
「私だってな。ヘレナだったんだぞ」
「うん」
 それはわかっている。それで遼平はディミトリアスだ。
「わかってるけれど、それは」
「だったらだ。わかるな」
 また彼に言う。
「私も。あの三色のすみれの魔法で」
「あれっ!?」
 ここで遼平はあることにふと気付いた。
「三色すみれだよね」
「そうだ」
 劇の中で出て来る魔法の花だ。妖精達が恋の魔法に使う花でありこれを眠っている恋人達の目にかけて恋の病に陥らせるのである。これでディミトリアスはヘレナの虜になるのである。
「それがどうしたんだ?」
「あれって確か」
 少しずつ我に返って記憶を辿りながら言う。
「ディミトリアスとライサンダーにかけるもので」
「うっ」
 真琴は彼の言葉に声を詰まらせた。実はこの魔法は最初妖精パックの手違いでディミトリアスもライサンダーもヘレナを愛するようになるのだ。ライサンダーは本来の恋人ハーミアを忘れてしまう。後でそれを怒った妖精王オベローンが眠った彼等達にまた魔法をかけさせて本来の形にするのである。当然ながら遼平も真琴もそれを知っている。知らない筈のないことである筈だった。

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