暁 〜小説投稿サイト〜
Fate/stay night -the last fencer-
第二部
魔術師たちの安寧
奇襲強行 〜現れる毒蛇の牙〜
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ばいけないのは、まず無くさないこと。
凛や士郎を失くすには惜しいと思うのなら、助ければいい。
聖杯戦争に参加しているのだから、いつかは敵として戦わなければいけないとしても、それは今ここで見殺しにしていい理由ではない。
敵だから憎まなきゃいけないことはないし、助けてはいけないなんてこともない。
逆を言えば慎二のように、親しい相手でも敵であれば容赦なく殺せるということでもあるだが。
その後に何があろうと、自分でやったことなら後悔はない──────
「あーもう! フェンサー、
灼光の魔丸
(
タスラム
)
でちょっかいを……!」
「その必要はなさそうね」
「え?」
葛藤していた数秒。
その数秒の間に起きたことは、俄かには信じがたい光景だった。
葛木宗一郎の魔拳を、アーチャーの持っていた黒白の双剣を以て防ぎ切る士郎。
数十にも及ぶ連撃を受け、双剣は砕け散ったものの、さすがに警戒したか葛木が退いた。
一時的にとは言え、死と隣り合わせの局面を凌いだ結果だ。
「なんだ今の、アーチャーから宝具を借りてたのか?」
「違うわね。砕け散った以上本物でもないし、宝具の創造なんて不可能……グラデーション・エアかしら」
「はあ? 投影で現実に映した剣ってことか? そんなの馬鹿げてる、宝具の創造が不可能なら宝具の投影だって不可能だ」
「詳しいところは本人に直接聞くしかないわ。ここからじゃ私にもよくわからないもの。
それにほら、今のが時間稼ぎになったおかげでセイバーが復活した。あの人間がどんなに鍛え上げられた拳法使いでも、さすがにセイバー相手に二度目はないわ」
勝機を逸したと判断したか、空間転移でキャスターと葛木は引き上げたらしい。
今夜の凛の奇襲は失敗だったが、凛と士郎、セイバーを仕留められなかったキャスターも失敗だ。
ここで二人が死んでいればセイバーとアーチャーの両方を無力化出来ていただろうに、戦局は変わらず…………いや、より深刻化したのかもしれない。
これで対キャスターに関してはお手上げだ。マスターである葛木宗一郎はもう柳桐寺から降りてこないだろう。
残る手段は拠点攻めという強硬策しかなく、そうなればセイバーとアーチャーの二人でも苦戦を強いられるだろう。
いや、二人が無事だったことをまだ良しとするべきか。
「とりあえず、今夜はもうこれ以上の動きはなさそうだな。キャスターも特にダメージを受けたわけじゃない、今から柳桐寺を攻めても効果は薄そうだ」
「また何もせずに帰るのー?」
「仕方ないだろ。葛木が戦闘に優れていることがわかっただけでも収穫だ。後は士郎にあの双剣について聞きたいところだが……」
そう易々と自身の武器や能力について教えてくれ
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