暁 〜小説投稿サイト〜
Fate/stay night -the last fencer-
第二部
魔術師たちの安寧
奇襲強行 〜現れる毒蛇の牙〜
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寺まで急いでもいいがさすがにここからでは遠い。
キャスターが撤退してきたとき、アサシンとの挟撃を受ける可能性もある。
……こちらがそんなリスクを負う必要はないな。
凛と士郎に任せて、俺は静観に徹するのが賢明か。
「セイバーが動いたわ。死んだわね、あのマス……ター……」
「は? え? はい?」
共有した視界、そこに映る光景は目を疑うものだった。
瞬速の踏み込みからの問答無用の一閃。
キャスターが放つ五指の魔弾をかき消しながら、セイバーは一秒で肉迫した。
フェンサーの宝具と同じく、不可視の剣によって繰り出された胴薙ぎ。
それを葛木は上段に腕と下段に脚、構えたその肘と膝で挟み込むようにして
止めた
(
・・・
)
のだ。
ただの人間が英霊、それも白兵戦に長けたセイバーの一撃を食い止めるという異常。
確かにキャスターは次元違いの魔術師だが、人間を英霊に匹敵する戦力にする術などあるはずがない。
無から有を生み出せないように、基本として魔術とは等価交換だ。
一概に強化するといっても、既にあるものに魔力によって手を加えることしかできないのだ。
どんな魔術を受けようとそもそもの地力が違うのだから、人間をどれだけ強化をしようと英霊に並ぶことはない。
それはつまり────葛木宗一郎は条件次第で、英霊と同等の戦闘力を発揮できるということなのか。
セイバーの一撃は不可視。それを初見で、避けたのではなく止めたのだ。
何らかの武術の心得があるのは間違いない。生半可ではない、達人の域に練り上げられた戦術勘。
そして驚嘆すべきはそれだけではなかった。
「嘘だろ……セイバーがやられてるぞ……」
左腕が鞭のように撓りながら、肘から拳が飛ぶ。
最初の一撃を止めたことで主導権を取ったのも大きかったか、その奇怪な業でセイバーを確実に追い詰めていく。
まるで獲物に喰らいつく蛇。
剣では防げない。だが鎧すら意味を成さない。
防ごうとする全てをすり抜け、穿たれる拳は一撃ごとにセイバーを削っていく。
第三者として離れた場所から見ていても、俺には葛木の業を理解できない。
フェンサーの視界を共有しているからこそ知覚出来ているが、もしも自分の目で見ていたならあの拳閃はまるで見えなかったに違いない。
閃光じみた初動から、さらに変動する拳撃。接近戦の距離では視認すら困難なはずだ。
一般的な格闘技でも真上に跳ね上がるような上段蹴りは、視界の外から襲ってくるため視認することができない。
達人は細かな間合いの差や経験則によって対処することが多いが、しかし理解不能な葛木の攻撃は通常の間合いを無視している。
間合いを読めない、経験した
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