暁 〜小説投稿サイト〜
Fate/stay night -the last fencer-
第二部
魔術師たちの安寧
奇襲強行 〜現れる毒蛇の牙〜
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る。間違いない、キャスターだ。
 背後からの攻撃に気づいていたかはともかくとして、葛木が自衛の為に何かをした素振りはない。
 ガンドを掻き消したのが彼の仕業ではなく、あの黒い布を纏うキャスターであるのは明白だ。

 サーヴァントであるキャスターが守ろうとする存在は、その主たるマスター以外に有り得ない。

「セイバーは、連れてるみたいだな……アーチャーはどこか別の場所か?」
「いいえ。アーチャーの気配はないわ。恐らく置いてきたんでしょうね」
「確かに対キャスターなら、強力な対魔力を持つセイバーだけで戦力としては十分だろうが……向こうにはアサシンも居るってのに」

 今は何か話をしているようだが、まず戦闘は避けられないだろう。

 剣士と魔術師では相性として戦闘は数分と掛からないはずだが、暗殺者はその数分でマスターを殺すには十分すぎるはずだ。
 柳桐寺で出会ったアサシンは暗殺者としては特異な存在だったが、マスターを殺すに不足ない戦力であるのは経験済みだ。
 元よりあの侍のサーヴァントであれば逆にセイバーを相手取るにも不足なく、単純にキャスターはマスターを倒すだけでいい。

 最も警戒すべきは敵が二人だという点だったのに、何故今夜の襲撃にアーチャーを外すような真似をしたのか。

「でも様子を見る限り、キャスター側もアサシンが近くに控えているわけではなさそうよ」
「……そうか! キャスターが優位を保っているのは、柳桐寺という拠点があってこそだ。
 自分が出張っているときに拠点を攻められれば、キャスターとしてはその時点で敗北と同じなんだ」

 故に自分の城には、必ず守備を残しておかなければならない。
 そしてセイバーと真っ向勝負をしても退くことのない兵が居るならば、キャスター自身は自由に行動できる。
 理想としては拠点防衛戦が一番なのだろうが……であれば、マスターを自由行動させていたのは裏目に出たといえる。

 一般人である葛木宗一郎を、拠点に篭らせるのは得策ではないと判断したか。
 複数のマスターが存在する学園、その教師という立場の利用価値を高く見たか。

 どういうつもりだったにせよ、今夜の奇襲は諸々と上手く噛み合ったようだ。

「チッ、そうと分かっていればこっちは柳桐寺に攻め込みでもしたのになぁ」
「そうね。柳桐寺に溜め込んだ魔力もアサシンでは扱えないでしょうし、1対1ならいくらでもやりようはあるわ」

 難しい手段だと思っていた各個撃破も、こうなれば可能だったかもしれない。

 ただこうなってしまった以上、もしもここでキャスターを逃せば葛木は柳桐寺に籠城するだろう。
 マスターが出てこなくなってしまえばもう打つ手はない。キャスターの用意した土俵で戦わざるを得なくなる。

 今すぐ柳桐
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