暁 〜小説投稿サイト〜
Fate/stay night -the last fencer-
第二部
魔術師たちの安寧
奇襲強行 〜現れる毒蛇の牙〜
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静寂に震える夜の空気。
吐き出す呼気が白霧を伴い、暗い夜闇に消えていく。
寒さも一段と深まるこの時間に、俺は冬木市内のとある高台まで来ていた。
傍にはフェンサーが控えている。ライダーとの戦闘での傷も癒え、魔力も万全に近いコンディションだ。
蹴られたり貫かれたりしたこちらの身体はさすがに完治とはいかないが、よっぽどの無茶をしない限り支障はない。
町の一定範囲を見渡せる場所。
この高台からは柳桐寺を始めとした、いくつかのルートを確認できる。
視界をフェンサーと共有しているため、通常の視力では見通せない距離まで鮮明に映っている。
大雑把に言えば町一つ越えた先でさえ、一軒家の表札に書かれている名前を正確に読み取れるほどだ。
何故こんな時間にこの場所で待機しているかというと、事の発端は半日ほど時間を遡る。
『はぁ? キャスターのマスターの目星が付いた!?』
『そうよ。99%間違いないと思う』
『いやそこは残り1%も詰めろよ……』
『……その1%を詰めるために、今夜行動に出るわ』
凛にキャスターの件を一任することにした翌日。予想外の早さで凛から俺の携帯に連絡が掛かった。
ライダーの結界による影響で入院している、同級生の見舞いに行っていた士郎が情報を持って帰ってきたらしい。
単刀直入に言うと、穂群原学園の教師の一人である葛木宗一郎が柳桐寺の関係者とのことだ。
あの騒ぎで被害を受けていない数少ない人物の一人であり、その上で柳桐寺に出入りしているとなれば容疑者候補になるのはわかるのだが…………
『さすがにそれは短絡的すぎだろ? ただ怪しいだけで確率だってよくて5:5だろ。99%は盛りすぎだ』
『ちょっと思うところがあってね。もし万が一違えば、また探せばいいだけよ。今一番可能性が高いのは彼なんだから』
『そりゃそうかもしれんが……でも葛木先生だろ……』
葛木宗一郎といえば、学園でも実直な良き先生として慕われている。
学園に通い始めてから魔力の気配など感じたことはないし、彼が魔術師だという線は絶対にないと言える。
だが間桐慎二の例がある。魔術師ではないが、マスターではないとは断言できない。
そう考えれば凛が葛木先生をマスターだという可能性を高く見ているのもわからなくはない。
けれど彼女の言がどこか腑に落ちないのも確かだ。
口にしていないだけで確証に近いものがあるのか、冬木の管理者としてキャスターのこれ以上の横暴を許すわけには行かない責任や焦りがあるからか。
キャスターに生命力を搾取、略奪された犠牲者の数は四桁に昇る。
未だ死者こそ出ていないが、看過するには被害の規模が膨れ上がりすぎている。
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