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【艦これ】艦これ軽音隊!あたしらの音を聞けぇぇえッ!
艦これ軽音隊!あたしらの音を聞けぇぇえッ!
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出て、もはやトイレに行く必要がないほどである。
 実際、もう何時間も演奏し続けているのに、誰もトイレに行こうとはしない。
 そんなどろどろの極限状態になっても、四人は演奏を続ける。
 ゴールがいまだ見えない演奏は、いつまででも続いていく。


 ピッキィィィィィィンッ――


 四人はハッとする。
 四人の頭の中で何かが走り抜けた。
 四人は仕切りなおすように楽器を構え直し、静かに息を吸いながら目を閉じた。

「これ、ラストになるな。ぜってぇ」

「そうねぇ、そういう予感を感じたわねぇ」

「パンパカパーン! 遂にここまで来たって感じだわ」

 榛名は目を閉じてゆっくりと息を吸い込み、三人に向かって話す。

「みんながいま感じているとおり、きっとこれがラストになります。だから、この演奏に全てを注ぎ込んでくださいね。みんなの全部を」


 そして最後の演奏が始まった――


 その演奏は今までの集大成とも言える、最高の演奏であった。
 数えきれないほどの演奏を繰り返し、そのたびにトライアンドテストをし、アレンジと改良を加え、そして遂に完成した。


 最後の演奏が終わる――


 演奏が終わると同時に、四人は事切れたかのようにその場に倒れ込んだ。
 もはや立っていることすら出来ない。
 それほどまでに四人はすべてを出しきったのである。
 いつの間にか夜は明けていて、日が昇り始めていた。
 夜戦は終わったのだ。

「無事、帰投だな。よく頑張ってくた」

 いつの間に現れたのか、倒れ込んでいる四人の前に提督がたたずんでいた。

「これ……マスターテープです……」

 もう声を出すのも限界といった榛名はぷるぷると震える手で、最後の演奏を録音したマスターテープを提督に差し出した。

「確かに預かったぞ」

 提督は榛名の傍らで膝をつき、マスターテープを受け取った。
 榛名はニコッと笑うと、そこで力尽きてしまい、バタッと突っ伏してしまう。
 そしてそのまま死んだように眠ってしまった。
 他の三人も死人のように眠ってしまっている。

 撃沈!

「お疲れさま。今はとにかく休んでくれ。あとで打ち上げしような」

 提督は四人に毛布を掛け、スタジオを後にした。

 ――――

 ――

 ―

『これが今回の成果物の音データとなります。現物のテープはすぐにそちらへお送りいたしますので』

『うむ、ご苦労であった』

 通信室にいる提督は、マスターテープに録音された榛名達の演奏を流している。

『毎回素晴らしい曲を作り上げてくれるな。優秀な部下を持ったものだ』

『彼女らにお褒めの言葉をいただいたと伝えておきます』

『そうだ
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