第三章 [ 花 鳥 風 月 ]
五十話 ヨルノハジマリ
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をやってヘマしてるし何より――――恐らく熊襲の、日向の狙いはあたし達を伊勢から引き離す事なんだと思う」
神奈子の言葉に須佐之男は自分の行動の迂闊さに恥じ、そして神奈子の推測に耳を傾ける。
「熊襲と鬼の組織が繋がっているかもしれないって報告したろ。だから奴らはあたし等を引きつけその隙に伊勢の都を鬼達に襲撃させようとしてるんじゃないか?って思う訳だよ。今あたし達がいるこの位置が伊勢の都で何かあっても駆け付けられるギリギリの場所なんだよ」
「でもよ神奈子、都には対妖怪の結界があるんだぜ?どんだけ強力な妖怪であってもアレは突破出来ねーよ」
祖佐之雄の言う通り伊勢の都には対妖怪用の結界が敷いてある。妖怪である以上どれ程の実力者であっても破れない代物なのだ。
「……そうなんだけどね、どうにも嫌な予感がするんだよ。奴らの進行を許した時点であたし等は後手に回ってしまっているんだ」
神奈子の言っている事はあくまで予感の範疇だ。しかし軍神や闘神の勘というものは得てして当たりやすい、それが軍略に関わるものなら尚更に。
明確な答えを得られぬまま時間だけが流れ青色だった空に朱色が混じり始めていた。
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輝夜の捜索二日目――――宿で夜を明かし早朝から動き出していたにも関わらず収穫は無く、そして再び日が傾き出した頃、僕は永琳に気になった事を尋ねてみる。
「ねぇ永琳……この探知器って輝夜が近くに居ると教えてくれたりしないの?」
「そんな機能は無いけど――――かなり近づけば矢印が消えるわ」
「……そういう事はもっと早く教えてよ――――まぁいいや、矢印はまだ西を指してるね。この先にある人里は……うわぁぁぁ……」
次の目的地を確認する為に地図を眺めた僕はその場所を確認した途端げんなりしてしまう。
「どうかしたのかしらお兄様?」
僕の様子が気になったのだろう、永琳がそんな事を言いながら横から地図をのぞき込んできた。
「……京の都?ここがどうかしたのかしら?」
「……どうもこうもないよ――――単純に馬鹿でかい都だから人探しで行くと思うと嫌になるってだけだよ」
永琳の問いかけに僕は苦笑いを浮かべて返答する。何回か言った事があるがあそこで人一人を探そうだなんて正気の沙汰じゃないよね。
「まぁ文句を言ってもどうにもならないし問題も解決しないか。今から出発すれば日が沈む前に到着出来る筈だから早く行こうか」
僕は永琳にそう声をかけ目的地である京の都を目指し空へと飛び立つ。夜が顔を覗かせはじめた空へ――――
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