暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン 〜槍剣使いの能力共有〜
閑話ー聖槍と聖剣の英雄ー
71.霜の巨人
[3/7]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
板金鎧。上半身は裸だが、その筋肉は武器を容易く弾きそうだ。
逞しい胸には、青い髭が長く垂れる。頭などシルエットとなっているほどで見えない。しかし、額に乗る冠の金色が闇の中で光っていた。
旧アインクラッドではこれほど見上げるようなモンスターと対峙した経験はない。あそこでは一フロアの高さが百メートルまでという絵威厳があったため、必然的にボスモンスターは高くできない。
さらにアップデートで飛べなくなった今、いったいどうやって戦えばいいのだろうか。剣を振り回してもせいぜいスネに斬りつけるのが精一杯だ。

「ふっ、ふっ……アルヴヘイムの羽虫どもが、ウルズに唆されてこんなところまで潜り込んだか。どうだ、いと小さき者どもよ。あの女の居場所を教えれば、この部屋の黄金を持てるだけ呉れてやるぞ、ンンー?」

この台詞からして、こいつが《霜の巨人の王スリュム》であるのは間違いない。
真っ先に言葉を返したのはクラインだった。

「……へっ、武士は食わねど高笑いってなァ! オレ様がそんな安っぽい誘いにホイホイ引っかかって堪るかよォ!」

その言葉に自然と笑みが溢れた。
クラインの愛刀が鋭く鞘走った。
それを合図に、残る七人も各々の武器を手に取る。
暗い眼窩に瞬く燐光で、巨人は俺たちを遥か高みから睨めつけた後に、最後尾の九人目に目を落とした。

「……ほう、ほう。そこにおるのはフレイヤ殿ではないか。檻から出てきたということは、儂の花嫁となる決心がついたのかな、ンン?」

「は、ハナヨメだぁ!?」

「そうとも。その娘は、我が嫁としてこの城に輿入れしたのよ。だが、宴の前の晩に、儂の宝物庫をかぎ回ろうとしたのでな。仕置きに氷の極へと繋いでおいたのだ、ふっ、ふっ」

ややこしい展開になってきたと、頭を抱える。
なぜこんなややこしい設定をカーディナルは生成したのだろうか。すると俺の左側にいたリーファが袖を引っ張って囁いた。

「ねえ、シュウくん。あたし、なんか、本で読んだような……。スリュムとフレイヤ……盗まれた宝……あれは、ええと、確か……」

どうやら神話をモチーフにしたクエストらしい。リーファが思い出そうとする前に後ろでフレイヤが叫んだ。

「誰がお前の妻になど! かくなる上は、剣士様たちと共にお前を倒し、奪われた物を取り戻すまで!」

「ぬっ、ふっ、ふっ、威勢の良いことよ。さすがは、その美貌と武勇を九界の果てまで轟かすフレイヤ殿。しかし、気高き花ほど手折る時は興深いというもの……小虫どもを捻り潰したあと、念入りにめでてくれようぞ、ぬっふふふふ……」

この台詞大丈夫なのか?、と思うほど全年齢寸前の線だ。
周囲の女性陣が一様に顔をしかめ、前に立つクラインが左拳をプルプルさせながら喚いた。

「てっ、てっ、手
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ