トーナメントが終わり…
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VTシステムの件でトーナメントは中止になった。一応、生徒の実力を測る意味で1回戦だけは全てやることにはなったが
「和也、残念だったな…」
父さんが言う。
「仕方ない。あんなことがあって中止にならない方が異常だ」
「そうだな。だがお前は戦いたかったのだろう?」
「ああ」
「…学年別トーナメントはまたある。そのときにお前の力を見せてくれればいい」
「父さん…」
「私はそろそろ帰るよ。会社でやることがある」
「ああ。元気でな」
「お前こそな」
父さんは迎えの車に乗って帰っていった。
俺も部屋に戻ることにする。
部屋に戻る途中、山田先生が話しかけてきた。
「黒鉄くん、ここにいたんですね」
「何か用です?」
「朗報です。なんとですね、ついについに今日から男子の大浴場使用が解禁です!」
「…別に朗報でも何でもないんですが」
「織斑くんは喜んでましたが…」
「正直なところ、風呂など体と髪を洗えれば十分ですから」
事実俺はシャワーだけで浴槽に浸かることなど全くない。そんな時間があるなら勉強に使った方が遥かに有用だ。
「残念です…」
そう言い残して山田先生はどこかに行った。
どうでもいいことだったな。
あらためて部屋に戻ることにする。
そのとき背後に気配を感じる。この感覚は…
「楯無さん、そこにいるんだろ」
「…バレちゃったか」
楯無さんが出てくる。
「試合観てたよ。なかなかやるね」
「あの程度では実力も発揮出来ん。ボーデヴィッヒとやり合いたかった」
「ふーん」
「で、何の用だ?」
「スカウトよ。生徒会の副会長、今空いているの。やってみない?」
「それをすることでの俺の利益は?」
「特にないかな。ただ単に私があなたを欲しいだけ」
「なら断る。そんなことに付き合えるほど俺は暇人じゃない」
「そんなこと言うなんて…、お姉さん泣いちゃうよ〜」
明らかな嘘泣き。見てて馬鹿らしい。
「そんな手には乗りませんよ」
「バレたか…」
「逆にバレないとでも?」
「織斑くんならバレないかなぁ」
「俺とあの馬鹿を同格にされるとは…、さらにやる気がなくなった」
「ならこうしましょう。明日、アリーナで一騎討ちをして私が勝てばあなたは強制的に副会長、あなたが勝てばこの話はなしにしてあげるわ」
「それって楯無さんは全くリスクがないよな。不平等じゃね?」
「なら私が負けたら1つだけ言うこと聞いてあげるわ」
「それなら引き受けよう」
楯無さんが去る。
俺は今度こそ部屋に戻った。
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