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FAIRY TAIL 星と影と……(凍結)
EP.29 ジョゼの研究
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 当時の戦争では負けを知らず、敵対者は女子供であっても完膚なきまでに滅ぼす、苛烈で激烈な闘争心を持っていた事。
 戦争で滅ぼされた部族が使っていた魔法は、現在失われた魔法(ロストマジック)と呼ばれている魔法である事。
 敗者として落ち延びた生き残りたちは世界中に散らばり、盗賊紛いの事をして生計を立てており、『星族』たちは戦後彼らを狩り立てていった事。
 戦争で、もっと詳しく言えば膨大な魔力のぶつかり合いによって『天変地異』とも呼べる異常気象や災害が引き起こされた事。
 それによって環境が激変して生態系が破壊されてしまい、当時世界一と称えられていた国土の美しさは見る影も無い程に汚され荒廃。国どころか世界中が甚大な被害を被った事。

 そのために、『星族』は世界中で疫病神としておそれられ、蛇蝎の如く忌み嫌われている事を語った。



    =  =  =



「何も知らないくせに……!」

 ジョゼの言葉を切るように、エルザは憤怒を浮かべて一歩前に出る。
 ワタルの一族・星族の事を聞き、彼女の脳裏に浮かんだのは……嘗て彼の口から語られた言葉だった。

『俺たちは生まれてはいけなかった、生きる価値も無い存在なのかもしれない――そう思わない日はなかった……』

 それは、久しく感じていなかった無力感を味わった時の苦い記憶。
 ある仕事の際に自分を庇って重傷を負い、慣れない手で四苦八苦しながら応急処置を終えて何とか一命を取り留めた彼が『こんな機会でもなければ話せそうにない』と言って、自分たちの先祖の事を話してくれた事があったのだ。

 目標として憧れていた姿とは程遠く、弱弱しく先祖の行いに苦悩して語るワタルの悲痛に満ちた顔が思い出され、エルザは好き勝手に詰るジョゼに対して義憤に駆られた。
 頭では観点の違いからくる見解の相違だと納得していても、愛する男をここまでいいように言われて黙っていられるほど、冷徹でもドライでもなかったからだ。

「エルザ」
「ワタル……しかし……!」
「……」
「く……」

 だが、当のワタルに肩を掴まれエルザは足を止める。抗議しようと振り返ってみたが……まるで、事実だからと言わんばかりに、彼が無言で首を振ったため、奥歯を噛み締めて悔しさをにじませながらも彼女は振り下ろすタイミングを失った剣を下ろした。

「一国さえも揺るがし、破壊できるだけの財力と武力――この二つがあれば、我が幽鬼の支配者(ファントムロード)は王国一に留まらず、大陸一……いや、世界一の魔導士ギルドになる事だって夢ではない!」

 二人のやり取りが見えていないのか、再び歓喜から憎悪の表情にシフトするジョゼ。
 あまりの興奮に、口角泡を飛ばしているのにも気付いていない。

「そのためには……
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