第五話:笑う棺桶
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似ていないから止めた方がいいぞ」
思わず溜息をつく。
『終わらせる』などと言っていることから、恐らくこの鉄城を攻略することを言っていたのだろうか。
この世界でそれを言うとバカの妄言としか捉えてもらえない。勿論、一部の攻略組プレイヤーは自分こそこの鉄城を終わらせるのだという気概を持って生きているだろう。だがそれはどちらかといえば少数派だ。皆が皆、いつか誰かが攻略してくれるのではないかと思っている。
だがオレは本気だ。オレこそ、この鉄城を攻略する人間だ。そうでなければ、アイツらに示しがつかない。
その決意を今更誰かに笑いモノにされようが一向に構わないが、ムカつくものはムカつくのだ。
「用がないのならオレは帰る。お前も帰った方がいいぞ」
「用ならあるよ?」
チョコンと首を傾げて何を言ってるんだコイツは、みたいな目を向けてくるユメだが、こいつの持つ前科故にその要件の内容に期待はできない。
「ある人から依頼を頼まれたんだけどね、私一人じゃちょぉっと厳しいから手伝って欲しいんだよね」
「依頼?」
そう言えば、コイツは何でも屋をやっていたっけか。
オレとこいつが出会ったのも、同じ人の頼みを聞いてたのがきっかけだったしな。
正直気分は乗らないが、話くらいは聞いてやるか。
「そう。ある小規模ギルドの人からの依頼なんだけどねーー」
立ちかけた座席に座り直して、ユメの言葉を待つ。
「ーーレッドギルドを潰して欲しいらしいの」
それは、オレの因縁に深く関係する組織だった。
ーー『笑う棺桶』
その名を知らないプレイヤーは恐らくいないだろう。
犯罪を犯したプレイヤーに課せられるオレンジの烙印、更に好んで犯罪を犯すプレイヤーを、レッドプレイヤーと呼称する。
そして、そのレッドプレイヤーのみで構成された犯罪ギルドをレッドギルドという。
その中でも、殺人という禁忌を好んで実行する過激派ギルドが『ラフィン・コフィン』だ。
「だがラフコフはこの間の掃討戦で黒鉄宮へ総送りにしただろう?」
「でも全員じゃなかったってことだね。最悪な事に、リーダーである『PoH』と幹部である『ザザ』、『ジョニー・ブラック』は捕まってなかった」
「……ザザはキリトが相手していたはずだが…あの混戦状態では逃がすのも仕方ないか」
もしくは、何者かに邪魔をされたか。キリトがそう簡単に標的を逃がすとは考えにくいからな。
「…あれは、酷い戦いだったね」
「ああ。攻略組にとっても大損害だった」
ラフコフ掃討作戦は、血盟騎士団や聖竜連合を筆頭とした有志50名によって行われた。勿論その中にはオレやアイギスの姿もあり、そして、その中でオレはアイギスのメンバーを全員殺
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