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機動6課副部隊長の憂鬱な日々(リメイク版)
第4話
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だけのために私の仲間を殺したのかぁあああ!」

男は憤怒の表情を浮かべながら咆哮を上げる。
だが、ゲオルグの顔はぴくりとも動かなかった。

「何度も言わせるな。 だからどうした?」

ゲオルグはそう言うと男の方に一歩近づく。

「そもそも、自分たちの勝手な主張のために無辜の市民を犠牲にした
 お前らにそんなことを言う資格があるわけないだろう。
 それに、今日を生き延びたところでどうせ死刑だよ。お前ら全員な」

「だが・・・」

ゲオルグの言葉によって気勢をそがれた男は掠れた声を上げるが、
男の言葉は続くゲオルグの行動によって遮られる。
男の髪を掴んで自分の方に顔を向けさせたのである。
そして、男にグッと顔を寄せた。

「で、喋る気になったか?」

ゲオルグの絶対零度にすら感じられそうな冷たい視線から目をそらし
男は小さく声を上げる。

「話すことなど、ない・・・・・」

男がそう言うと、ゲオルグは害虫でも見るような目線を送る。

「そうかい・・・」

呟くようにそう言うと、ゲオルグは男の髪から手を離し
ゆっくりと立ち上がる。

「なら、しかたないな」

そう言ってゲオルグは床を見つめる男を一瞥すると
男に背を向けて一歩踏み出した。
その足音に反応して男が顔を上げる。

「待て! また誰かを・・・」

「そのつもりだが、なにか?」

足を止めたゲオルグが男に背を向けたまま男の問いに短く答える。

「くっ・・・、私が喋るまで続ける気か?」

「そのつもりだが、なにか?」

唇を固くかみしめた男が苦しげな表情を見せる。
その声はようやく絞り出したかのように小さなものであった。
それに応じるゲオルグの返答は先ほどの言葉を録音して再生したかのようだった。

そしてさらに1歩ゲオルグが踏みだしたとき、男は声を上げた。

「待ってくれ、全て話す。 だから、これ以上は・・・」

その言葉を聞いたゲオルグはくるりと向きを変えて、男を見下ろした。

「いいだろう。 じゃあ、話してもらおうか・・・」

そう言ったゲオルグの顔には満足げな笑みが浮かんでいた。

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