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機動6課副部隊長の憂鬱な日々(リメイク版)
第4話
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はやてとの会談から数日。
ゲオルグは特に出動もなく通常業務と訓練を繰り返す日々を過ごしていた。
この日も出勤してから午前中いっぱいは戦闘訓練にあて、午後からはオフィスで
事務作業に勤しむ予定にしていた。

戦闘訓練を終えてシャワーで汗を流したゲオルグは、わずかに湿った髪を
撫でながら自分の席についた。
午前中、訓練で不在にしていた間に来たメールを眺めている間に
訓練を共にした工作班の面々が次々と戻ってくる。

その様子をちらちらと見つつ、すぐに処理が必要なメールがないことを
確認したゲオルグは、席を立ってシンクレアの側に歩いていった。

「シンクレア。 昼飯食いに行かないか?」

ゲオルグがそう声を掛けると、端末に向かっていたシンクレアは済まなそうな
表情を浮かべて振り返った。

「すいません。昼イチで情報課の連中に呼ばれてて、資料を作らないと
 いけないんです」

「そっか。 じゃあ、一人で食ってくるわ。 悪かったな、邪魔して」

「いえ、こちらこそすいません。 また今度誘ってください」

「気にすんなって」

ゲオルグは笑ってシンクレアに手を振ると、諜報課の大部屋から通路に出た。
セキュリティチェックを抜けて情報部エリアから一般エリアに入り、
エレベータホールまで来てゲオルグの足は止まった。
エレベータの階数表示の上にある案内板を見ながら、ゲオルグは腕組みして
考え込む。
傍から見れば何か深刻な考え事をしているかのように見える彼の姿であるが、
その実なにを考えているかといえば、

(上の食堂か下の食堂か、どっちに行こう・・・・・)

という、実にくだらない考えごとだったりする。

1分ほど迷った末、ゲオルグは下のボタンを押した。
しばらくしてエレベータの扉が開き、ゲオルグはエレベータに乗り込んだ。
エレベータには数人しか乗っておらず、ゲオルグは奥の壁にもたれて目を閉じた。

食堂のあるフロアまで途中何度かエレベータは止まる。
ゲオルグはそのたびに薄く目を開けて自らの目的地でないことを確認すると
再びその目を閉じるのであった。

やがて食堂のあるフロアにエレベータは到着し、ゲオルグはエレベータを降りて
食堂の行列に並んだ。
本局には数千人が勤務しており、彼らの胃袋を2つの食堂で支えている。
ただ上層階の食堂は士官専用となっており、実質的にはここ地下食堂が
局員たちの食を支えていると言って過言ではない。

列が進んでカウンターのところまで来ると、ゲオルグは自分の選んだメニュを
カウンター向こう側に居る小母さんに伝える。
人好きのする笑顔を浮かべた小母さんはすぐにゲオルグの頼んだメニューをそろえて
トレーの上に乗せてゲオルグに手渡した。


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