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魔道戦記リリカルなのはANSUR〜Last codE〜
Epos55真なる目醒めの刻は今/紫天の盟主〜Yuri Eberwein〜
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などではなく、お前が生まれ時に付けられた名だ」
「私の・・・本当の、名前・・・? そんなものが在るんですか・・・?」
U-Dは、自分の本当の名前があるなど思ってもいなかったようで驚きに目を見張った。「うむ」と頷いたディアーチェは彼女の名前を口にするために、今一度口を開いた。
「お前の真の名は、ユーリ。ユーリ・エーベルヴァイン。それが人として生まれた時のお前の名だ」
人として生まれた時の名前。ひょっとすると、ユーリにもまたオリジナルの人間が居たのかもしれないが、それはまた別の話であり、ここで詮索するのは無粋なことだ。
「私は・・・、ユーリ・エーベルヴァイン・・・」
「そうとも。・・・これよりお前をユーリと呼ぶ。無論、他の連中にもそう呼ばせよう。それで良いな?」
「・・・うん・・・!」
とうとうU-D――ユーリの瞳から涙が零れ落ちた。ディアーチェはユーリの肩に回している手に僅かばかり力を入れ、彼女を自身へと引き寄せた。ユーリはようやく永遠にして絶望に満ちていた、孤独の旅路を終点へと辿り着いた。その安堵感からか、彼女はその優しげな瞳を閉じ、眠りについた。
「・・・さて。戻るぞ、ユーリ。外に居る阿呆と塵芥どもは、ここでの状況が判らん。我とお前のことで馬鹿面を下げて気を揉んでおるだろうからな。・・・それについて我が気を揉むのもおかしな話だが・・・」
寝顔を浮かべるユーリにそう独り話すディアーチェ。そしてディアーチェとユーリは、外の世界へと戻る。外はすっかり日も暮れ、夜となっていた。雨も止み、遥かなる夜天には美しい月と星々が煌めいていた。
「ディアーチェ、ヤミ!」
真っ先にディアーチェとユーリに気が付いたイリスが、2基の元へと翔ける。遅れて「大丈夫、2人とも!」なのは、「ヤミ、もしかして気を失ってる?」フェイト、「ちょっと大丈夫なの?」アリサ、「すぐにシャマル先生をっ。はやてちゃん!」すずか、「うんっ。シャマル、ヤミちゃんを診たって!」はやて、「ディアーチェ。お前は無事か?」リインフォースが、2基の元へと翔けた。
「やかましいぞ、貴様ら! ユーリはいま眠っておるだけよ、起こすような真似をするな、阿呆ども! まったく。この王たる我の成すことに、そんな不備や不手際が起こるはずがなかろう!」
ユーリを気遣っての発言だろうが、一番声が大きいのはディアーチェだった。シャマルや他のメンバーと共に遅れてやって来たルシリオンが「ディアーチェ。君が一番うるさいぞ」ポツリと漏らすと、「何か言ったか? 女男」と睨み返すディアーチェ。と、ルシリオンの眉やこめかみがピクッと動いた。が、「ユーリとは、その子のことか?」と怒鳴り返すような無粋な真似はせず、気になっていたことを訊き返した。
「ああ。こやつの名だ。
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