第二章
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第二章
「それじゃあ」
「はい、それじゃあ」
「仕事だよな」
「それですよね」
「今日は少し遅れているからピッチをあげようか」
政孝はこう言って自分の席で書類のサインを進めていく。
「さもないと残業になるよ」
「げっ、それはちょっと」
「今夢中になってるゲームありますから」
「今日はあのドラマの日ですし」
「帰ってお酒飲まないと」
彼等はそれぞれの事情を言う。
「今日は早く帰りたいしな」
「じゃあ今から頑張って仕事するか」
「そうですよね」
「お酒ちゃんの為に」
「早く帰りたければ真面目に仕事をしないとね」
今度は悪戯っぽい笑みになって話す政孝だった。言葉を出すその間も書類にサインをする手は止まらない。かなり早い動きを見せていた。
「そういうことだからね」
「やるか」
「そうだな」
こうしてだった。彼等は真面目に仕事をした。そのうえでそれぞれの楽しみに向かう。そして政孝もまた。電車から自分の家に帰った。
マンションの扉を開けるとだ。すぐにクリーム色のエプロンに淡い茶色の髪をウェーブにさせた小柄な女性が出て来た。幼い顔立ちをしていて眉は細く長い。目がかなり大きくいささか垂れ目になっている。その黒い目がかなり目立つ。肌はきめが細かい。小柄なその身体は胸の小ささが目立つ。
その彼女がだ。彼を出迎えて笑顔で言うのだった。
「おかえりなさい、あなた」
「うん、小真」
彼は笑顔で彼女の名前を呼んだ。
「どうだった?今日は」
「特に何もなかったわ」
「そうなんだ」
「私の職場では特にね」
「なかったんだ」
「いつも通りよ」
こう話してそれで玄関で靴を脱いでいる夫を見ていた。
「普通にお仕事してそれでね」
「そうなんだ」
「それで今日の御飯だけれど」
「何かな」
「コロッケよ」
笑顔で彼に告げる。
「それとレタスとトマトのサラダ。お味噌汁もあるわよ」
「お味噌汁は何のお味噌汁かな」
「大根と薄揚のよ」
それだというのだ。
「それをなのよ」
「そう。それなんだ」
「あなたが大好きだからと思って作ったんだけれど」
「有り難う。じゃあこれから二人でね」
「食べましょう。まずは食事ね」
「はい、それじゃあ」
こんな話をしてだった。そのうえでマンションの部屋の中の廊下を進んでだ。リビングに入った。そうしてそこでだ。二人で話すのだった。
「そっちは何ともなかったのね」
「こっちも平和だったよ」
政孝はにこやかな笑顔で小真に返す。二人は樫のテーブルに向かい合って座ってそのうえで夕食を食べながら話をしている。
「とてもね」
「そうなの。お互い平和だったのね」
「今日も世の中こともなしかな」
こうも言う政孝だった。
「有り難いことにね」
「そ
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