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DAO:ゾーネンリヒト・レギオン〜神々の狂宴〜
第十六話
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ずだった自らの姿』の一部を召喚するのに対し、カズの行ったそれは自らの《ギア》の体の一部を召喚するものだった。つまりは本家とは多少異なる術式であると思われる。

 それでも、所詮『作られた』存在でしかない『武器』よりも、圧倒的な優先度を誇る『竜族の体の一部』の方が強力であることは確か。《冥刀》すらも超えるだろうその秘めたる威力は、何もしていなくても、ただ存在するだけで重圧となってコクト達を襲う。

『ゴガァァァァッ!!』
「――――イフリート!!」

 《ジークフリード》が方向を上げる。刃の翼を広げて迫る巨体に、黄金の聖巨兵が立ち向かう。だが、所詮第五位階の六門神があつかう《ギア》。第九位階まで練り上げられたその膨大なパワーの前には屈せざるを得ない。ラーヴェイが持ちうる力の全てをかけてイフリートを制御しているが、黄金の機体は徐々に、徐々に、押し負かされていく。

「ラーヴェイ!」

 コクトは《(イテツキ)》を構えると、ラーヴェイの援護に向かおうと走りかける。だが、それを大声で彼は制した。

「馬鹿野郎! 何考えてやがるこのウサ耳! 貴様がこのドラゴンと真正面で戦うだと!? 笑わせるな、お前はカズの方へ行け!!」
「な……う、ウサ耳言うな!」

 それは――――若いころ、幼いころ、幾度となく彼と交わした言葉だった。


 ▼▼▼


 コクトもラーヴェイも、そしてコクトの姉である雪村白羽も、同じ孤児院の出だ。《精霊系自在師》を名乗る女性によって開かれたその場所で暮らしていたころ、コクト……黒覇のトレードマークは、大好きな姉とお揃いの、ウサ耳のついたフードだった。
 
 さんざん「少女趣味」とからかわれたそのトラウマが、コクトを多少姉から遠ざける遠因となっている。
 
 だがラーヴェイ……千場だけが、「ウサ耳野郎」を 蔑称の意味として使用しなかった。二人はいつの間にやら孤児院内で仇敵と書いて『とも』と読む間柄になっていた。

 そのしばらく後だ。小波と知り合ったのは。

 その後、コクトと白羽、ラーヴェイは、それぞれ別の場所に引き取られた。《ボルボロ》に合流したのはコクト達の方が後だが、実質的な最古参メンバーの一人である、という自負がある。


 ▲▲▲


 まるで昔に戻ったようなそのやりとりに、コクトは多少なりとも気合い、とでもいうべきものを取り戻す。

 どうやら、偽物とはいえカズと戦うことに、無意識下で抵抗を感じていたらしい。まったく、今離れた場所で自分たちの戦いを見学しているだけのあの青髪の少女……ノイゾは、非常に悪趣味だ。

「……カズ、お前は――――来たるべき『その時』まで、眠っていろ」

 そう呟くとコクトは、《凍》を構え直す。

 その刀身から、吹雪が
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