第2巻
犬猿の仲×ティグルに質問
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「・・・・リム。なぜ私の館にそいつが足を踏み入れるのを許した」
激しい怒気を帯びた、地の底から響いた声だったが俺には何も感じない。殺気ならもっと濃密に出ないのか?と思ったがここで出す訳にもいかんだろう。
「戦姫たる方を、追い返す訳には参りません」
血の気の通っていない人形か純血の吸血鬼並みに淡々と応じた。
「戦姫?」
俺は知らないフリをしていた、一度会ったとしても今の俺はプトレマイオス神国の大公だけだ。まあ戦姫より上位なのは間違いなさそうだけど、彼女は胸を張り通る声で名乗った。
「ジスタートが誇る戦姫の一人。『破邪の尖角』が主、リュドミラ=ルリエよ」
「帰れ」
「エレン、客人に対して失礼じゃねえのそれ?」
エレンの声が冷たく容赦がない。和やかだった空気が台無しになったと俺はラヴィアスを睨んだらまるで申し訳なさそうに、輝いたように見えた。この二人は犬猿の仲だったか、顔を合わせるとすぐに喧嘩すると言ってたな。ソフィーから聞いた。
「それが、あなたの客に対する口の聞き方なのかしら?全く持って無礼にも程があるわ、エレオノーラ」
まるで俺の声が聞こえていなさそうな態度を示していた、大公の俺をスルーするとは。失礼なのは君だと言いたいが、今は静観しておこう。国の大公がここにいる事がまるで知ってたかのようにここに来た様子のようだし。エレンもまなじりを吊り上げ、敵意を剥き出しにして応酬する。
「客と言うならそれらしい態度を取れ。手土産の一つでも持って来い。最も、お前を客と認める気はないがな」
「まず、人の事をジャガイモだのと罵倒した事を謝罪しなさい」
「お前が先に土下座しろ。人の会話を盗み聞きした事についてな」
俺は空間を切ってから、移動し静かにリムの隣に立っている。まるで最初からそこにいました的な感じで俺はリムの隣にな。
「盗み聞き?あなたの声が馬鹿みたいに大き過ぎるだけでしょう」
「この程度で声が大きいとは、随分狭い世界で生きて来たのだな。可哀想に」
「例え狭い世界だとしても、私は多くのモノを得て来たわ。あなたとは違って」
「多くのモノ、か。そこそこの身長とか、それなりの胸とかはなかったようだな」
「私はまだ十六よ。それらがこれから手に入る余地は充分にある。あなたはどうかしら、エレオノーラ?これから必死に頑張って、老いて死ぬまでに最低限の尊厳や礼儀、気品が身に付くといいわね」
歯軋りの音がした方をかは分からないが、二人とももう少しで戦闘になりそうなくらいになっていた。隣にいるリムを見ると、助けを求めているように見えた。まあここにいる者の上位な者は俺だけ、あとは戦姫と仕える筆頭家臣。
「・・・・一応聞くが、この二人はいつもこうなの?」
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