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ソードアート・オンライン〜狩人と黒の剣士〜
最後に闇は光となる
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…市で働いていました。職場は……」
続く一言を聞き、詩乃も翔夜も全て理解した。
「……町三丁目郵便局です」
「「あ……」」
そう。この人は、その事件のあった郵便局で、カウンター奥にいた人だ。
と言うことは、キリト達は、昨日、わざわざあの郵便局まで行き、彼女の現住所を調べ、連絡し、今日、自分達と引き合わせた。
「……ごめんなさい。ごめんなさいね、詩乃さん、翔夜さん」
そんな思考を、祥恵の言葉が遮る。
「本当に、ごめんなさい。私……もっと早くあなたたちにお会いしなきゃ行けないのに……あの事件のこと、忘れたくて……夫が転勤になったのを良いことに、そのまま東京に出てきてしまって……。あなたたちがずっと苦しんでらしてるなんて、少し想像すれば解ったことなのに……謝罪も……お礼すらも言わず……」
すると、瑞恵の頭を撫でて、言う。
「あの事件の時、私、お腹にこの子が居たんです。だから、お二人は私だけではなく……この子の命まで救ってくれたの。本当に……本当に、ありがとう。ありがとう……」
「「………命を………救った?」」
「そうだ」
そこに、ライトが言う。
「ダーク、シノン、お前たちはずっと自らを責め続けて来た。自分を罰しようとしてきた。それが間違いと言うことは言えない。しかしーーーーお前たちには同時に、自らが救った人の事を考える権利がある。そう考え、自らを赦す権利がある。それを、キリトは伝えたいんだと思う。俺もだがな」
ライトが言い終わると、
とん。
と、小さな足音がした。
四歳だと言う女の子、瑞恵が椅子から飛び降り、翔夜達の所へ歩いてきた。
瑞恵は、幼稚園の制服らしいブラウスの上から掛けたポシェットに手をやり、ゴソゴソと何かを引っ張り出した。
それは、四つ折りにした画用紙だ。不器用な手付きで広げ、翔夜と詩乃に差し出す。
クレヨンで書いたとおぼしき絵が、目に入る。中央には祥恵、右側には、詩乃と翔夜、左には、恐らく父親だろう。
そして、一番上に、覚えたてであろう平仮名で、<しのおねえさん、しょうやおにいさんへ>と記されていた。
瑞恵が両の手で差し出すそれを、翔夜が両手で受けとる。
そして、瑞恵はにこりと笑い、大きく息を吸う。
「しのおねえさん、しょうやおにいさん、ママとみずえを、助けてくれて、ありがとう」
途端、二人の視界全てがーーーー虹色の光に満たされ、滲み、ぼやけた。
翔夜は、それを泣いていると解ったのは、詩乃が瑞恵の手を握った時だった。
「……ダーク、お前はあの世界で言ったな。過去に赦されざる罪を犯し、そして償える事すらなく死んだと。だが、これでも、償え無かったと、本当に思っているか?」
「……ライト」
翔夜は呟き、そして、瑞恵の手を、詩乃と一緒に掴んだ。
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