第2部 風のアルビオン
第2章 王女の憂鬱
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教室中がざわめいた。
「したがって、粗相があってはいけません。急なことですが、今から全力を挙げて、歓迎式典の準備を行います。そのために本日の授業は中止。生徒諸君は正装し、門に整列すること」
生徒たちは、緊張した面持ちになると一斉に頷いた。
ミスタ・コルベールはうんうんと重々しげに頷くと、目を見張って怒鳴った。
「諸君が立派な貴族に成長したことを、姫殿下にお見せする絶好の機会ですぞ!御覚えがよろしくなるように、しっかりと杖を磨いておきなさい!よろしいですな!」
魔法学院の正門をくぐって、王女一行が現れると、整列した生徒たちは一斉に杖を掲げた。
正門をくぐった先に、本塔の玄関があった。
そこに立ち、王女一行を迎えるのは、学院長のオスマンであった。
馬車が止まると、召使たちが駆け寄り、馬車の扉まで桃毛氈の絨毯を敷き始めた。
呼び出した衛士が、緊張した声で、王女の登場を告げる。
「トリステイン王国王女、アンリエッタ姫殿下のおなーりー」
馬車から王女が出てきた。
生徒の間から歓声が上がる。
王女はにっこりと薔薇のような微笑みを浮かべると、優雅に手を振った。
「あれがトリステインの王女?ふん、私の方が美人じゃない」
キュルケがつまらなそうに呟く。
「ねえ、ダーリンはどっちが綺麗だと思う?」
ウルキオラに尋ねた。
「知るか」
ウルキオラはそっけない返事をした後、ルイズの方を見た。
ルイズは、真面目な顔をして王女を見つめている。
黙ってそうしていると、なんとも清楚で、美しく、華やかなルイズである。
ルイズの横顔が、はっとした顔になった。
それから顔を赤らめる。
ウルキオラはそんなことを気にもとめず、タバサの方を見た。
タバサは王女とその一行が現れた騒ぎなどまったく気にもとめずに、座って本を広げている。
「お前は相変わらずだな」
ウルキオラはタバサに言った。
タバサは顔を上げてウルキオラの手にある本を見た。
「あなたも同じ」
ウルキオラは自分の持っている本に視線を移して言った。
「そうだな」
そしてその日の夜……。
ウルキオラは椅子に座り込み、ルイズを見ていた。
なんだか、ルイズは激しく落ち着きがなかった。
立ち上がったと思ったら、再びベッドに腰掛け、まくらを抱いてぼんやりとしている。
「ついに頭がおかしくなったか?」
「ち、違うわよ」
ルイズは激しく否定した。
「どうでもいいが、客だぞ」
「え?」
ウルキオラは探査回路で、ルイズの部屋に近ずいてくる人物に気がついていた。
まもなく、ドアがノックさ
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