第2部 風のアルビオン
第2章 王女の憂鬱
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んのつも…」
ウルキオラはギトーが言い切る前に虚弾を放つ。
それはギトーの顔の横を通り過ぎ、黒板を粉々に吹き飛ばした。
あまりのスピードに教室にいるすべての人間が驚いた。
ギトーの?が黒板の破片で傷つき、血が出る。
「その程度の実力で驕るなよゴミが」
ギトーはその場にへたり込む。
腰が抜けたようである。
「ダーリン…」
キュルケは惚けた様に呟いた。
ウルキオラがギトーに近ずく。
拳には再び虚弾が形成されている。
ルイズがウルキオラを止めようと席を立ったその時、教室の扉がガラッと開き、緊張した顔のミスタ・コルベールが現れた。
彼は珍妙ななりをしていた。
頭に馬鹿でかい、ロールした金髪のカツラを乗っけている。
見ると、ローブの胸にはレースの飾りやら、刺繍やらが踊っている。
何をそんなにめかしているのだろう。
「失礼しますぞ…ってなんですか!?これは!」
ウルキオラはやる気が失せたのか、虚弾を解除する。
ルイズとギトーがそれを見て安堵した。
「おっほん。今日の授業はすべて中止であります」
コルベールは重々しい調子で告げた。
教室中から歓声が上がる。
その歓声を抑えるように両手を振りながら、ミスタ・コルベールは言葉を続けた。
「えー、皆さんにお知らせですぞ!」
もったいぶった調子で、コルベールはのけぞった。
のげぞった拍子に、頭にのっけた馬鹿でかいカツラがとれて、床に落っこちた。
ギトーのおかげで重苦しかった教室の雰囲気が、一気にほぐれた。
教室中がくすくす笑いに包まれる。
一番前に座ったタバサが、コルベールのつるつるに禿げ上がった頭を指さして、ぽつりと呟いた。
「滑りやすい」
教室が爆笑に包まれた。
キュルケが笑いながらタバサの肩をポンポンと叩いて言った。
「あなた、たまに口を開くと、言うわね」
コルベールは顔を真っ赤にさせると、大きな声で怒鳴った。
「黙りなさい!ええい!黙りなさいこわっぱどもが!大口を開けて下品に笑うとはまったく貴族にあるまじき行い!貴族はおかしいときは下を向いてこっそり笑うものですぞ!これでは王室に教育の成果が疑われる」
とりあえず、その剣幕に、教室中がおとなしくなった。
「えーおほん。皆さん、本日はトリステイン魔法学院にとって、よき日であります。始祖ブリミルの降臨祭に並ぶ、めでたい日であります」
コルベールは横を向くと、後ろに手を組んだ。
「恐れ多くも、先の陛下の忘れ形見、我がトリステインがハルケギニアに誇る可憐な一輪の花、アンリエッタ姫殿下が、本日ゲルマニアご訪問からのお帰りに、この魔法学院に行幸なされます」
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