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聖魔弾の銃剣龍神皇帝と戦姫
第2巻
訪問者×テナルディエ公爵の次の手
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れて血飛沫が飛び散った。悲鳴を上げると回数を増やされるので、打たれる側は必至に歯を食いしばり激痛を耐えたのだった。それ以外の兵達は、焼けた鉄の棒で背中を強打されるという拷問=罰を受けた。

テナルディエ公爵は銀製のグラスに注がれた葡萄酒を口にしながら、自分の下した罰が実行される光景を無言で眺めていた。公爵は無表情であったが、腹の底から湧き上がる怒りを抑えかねているのは誰の目のも明らかであった。ザイアンは年齢の割に、愚かで頼りない存在であったが公爵にとっては大事な息子だ。ザイアンは軍を率いての合戦で敗北し、ヴォルン大公との一騎打ちにも敗れ、最悪な事にザイアンの遺体はモルザイム平原の沼に沈んだと聞かされた。

「・・・・・おのれ、ヴォルンと忌々しい神国めが・・・・・・・!」

状況が許すのならば、自身で軍を率いてプトレマイオス神国へ乗り込みヴォルン大公を斬り捨てたいほどだった。神国には二度戦をしたが、二度も敗北をしてしまったからには次戦をするのであれば相手側の戦力を知ってから戦をすればよかったと後悔をしている。それと帰ってきた兵によるとヴォルン大公は赤い全身鎧を着ており、竜使いでもあると知った後に飛竜・火竜・地竜を殺したのもヴォルン大公と赤い竜だと聞いている。ヴォルン大公は、全身鎧を着ているだけなのに地竜を拳だけで止めてしまい投げ飛ばす程の力を持っているから、いくら大柄な体躯をして剣や槍を得意とするテナルディエ公爵でも不可能に近いだろう。

兵達の刑罰執行が終わると、屋敷の廊下を憤然と歩いて公爵は己の自室に戻る。既に葡萄酒の瓶を4本まで空にしているが、酔っているというのを感じないほどだった。鋭い眼光には殺意が込められていて、見る者を窒息しかねないほどの殺気を放っていた。今いる公爵の私室は派手な印象こそないが、物の価値を知る者が見れば、緊張のあまり部屋に入る事をためらうと思われる。高そうな絨毯や黒檀の机・黄金造りの燭台もどれも高級品で、まるで金銀宝石で埋め尽くされた部屋なのだが、公爵は乱暴に足を踏み入れ、椅子を引き勢いよく腰かけたのだ。机の上にあるアスヴァール産の火酒を掴み、蓋を開けるとグラスに注ぐ事もせずに、一気飲みした。

「・・・・・荒れておいれでですな」

不意に声が聞こえたと思えばテナルディエ公爵は睨みつけた。開け放たれた扉の前に、黒いローブに身を包んでいる小柄な老人でありザイアンに竜十体を贈り物にしてくれた張本人でもある。

「ドレカヴァクか」

空になった火酒の瓶を叩きつけるように机に置きながら公爵が吐き捨てると、老人はくぐもった笑いを漏らしてから一礼した。数年前からテナルディエ家に占い師として仕えている。ブリューヌ全土を見渡しても、テナルディエ家に対して不遜とも言える態度を取る事が許されているのはこのドレカヴァクただ
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