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Shangri-La...
第一部 学園都市篇
第3章 禁書目録
26.Jury:『Necromancer』U
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、泡食らったのはその『化物』の方だろう。まさか、ここまで意味ありげに登場しておいての無視を受けるなどとは。今の今まで、能力者にしろ魔術師にしろ()()()()()如きを狩る際には一度たりとも無かった事だ。どんな『馬鹿者(いけにえ)』も己を前にすれば平静を失い手向かいながら逃げるか、或いは狂うかしていた。
 それを、一顧だにせずに逃げの一手などと。有り得ない、と。『化物』は自らの自尊心に掛けて再度、突撃し────ニタニタ笑う猫顔を『本来の顔』に戻し、天魔色の髪を靡かせて反転しながら突き付けられた、漆黒の南部拳銃の照星を睨む蜂蜜酒色の瞳に捉えられた事を知る。

 そこは隘路、横の移動では避けきれぬ。かと言って、縦移動こそは射手の思う壺だろう。一発を受けて足を止めれば、追撃により仕留められかねない。ならば、取るべき手段は一つ。更なる加速、それによる突破。一発を受けようとも、一度最高速度に乗れば問題はない。若しも死ねども……その死骸の質量と速度は、縦回避すら出来ぬ獲物を穿ち殺すだろう。即ち、どう転ぼうが問題はない。
 問答無用の最高速度(トップスピード)、そこに至った『化物』が一気呵成に特攻する。見苦しいまでにひた走る、獲物に向けて。食らう一撃、腸まで食い込んだ銃弾にも構わず────

『────────??!』

 そして、己の浅はかさを悔いる。そもそも、敵対者はそんな事は折り込み済みだった筈だ。この『化物』を相手にする以上、そのくらいの分別はつけていた。
 そうだ、つまり最初から『必殺』を期して。その銃弾は最初から────『呪いの粘塊(ヨグ=ショゴース)』であり。

『────てけり・り』
Gyyyyyyyy(ギィィィィィィィィ)?!』

 その人知を越えた体内から、『化物』を……牙と臼歯の乱杭歯をガチガチと鳴らす、人知を越えた『より悍ましい化物』が喰らい尽くす!

 風船が萎むように、体内に向けて消え果てた『化物』から一つの混沌が帰ってくる。再び一切を顧みず、走り続けていた嚆矢の元に。
 勿論、最初に述べた通り嚆矢に取ってはどうでもいい事だ。だから、大して反応せずにそれを受け入れて。

「“ヨグ=ソトースの時空掌握(ディス=ラプター)”────!」
『てけり・り』

 目の前の涙子、その身柄を拘束しようとしていた()()()()に向けて。

Gyaaaaaaaa(ギャアアアアアアアア)!!?』

 握る『賢人バルザイの偃月刀』により発した空間歪曲、その負荷により捩じ切れた目の前の空間と共に、もう一匹が断末魔を上げながら虚空の裂け目に貪られ消えた。
 そうして、何とか捕まえた涙子。肩に手を掛け、無理矢理に振り向かせてみれば────虚ろな、ま
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