第1部 ゼロの使い魔
最終章 フリッグの舞踏会
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ると、身体能力が向上し技の威力も上がる。本来、扱うことの出来ないあの剣を扱うことができ、尚且つそのあらゆる情報が頭の中に流れこんできた」
オスマンは話すかどうかしばし悩んだ後、口を開いた。
「これなら知っておるよ。イーヴァルディーの印じゃ」
「イーヴァルディー?」
ウルキオラは、ルーンは読めたがその意味はわからなかった。
「そうじゃ。そのイーヴァルディーはありとあらゆる『武器』を使いこなし、その原理を知るそうじゃ。『破壊の剣』を使えたのも、その情報が流れ込んできたのも、そのおかげじゃろう」
ウルキオラは疑問に思った。
「なぜ俺が?」
「わからん」
オスマンはきっぱりといった。
「そうか」
「すまんの。ただ、もしかしたら、お主がこっちの世界にやってきたことと、そのイーヴァルディーの印は、なにか関係しているのかもしれん」
ウルキオラは目線を床に落とした。
すっかりあてが外れてしまった。
ウルキオラは退室しようと、オスマンに背を向ける。
「失礼する」
「ちょっと、待ちたまえ…」
オスマンはウルキオラを引き留める。
「なんだ?」
「いや、実はの…私の命の恩人が残していったものがもう一つあるんじゃ」
オスマンは引き出しを開け、一冊の本を取り出す。
「奇妙な文字で書かれておっての…」
それをウルキオラに差し出す。
ウルキオラは驚愕する。
「これは…」
「どうしたのじゃ?」
表紙には『鬼道全集』と書かれていた。
ウルキオラはオスマンに言った。
「貰っていいか?」
オスマンは笑みを浮かべながら言った。
「よいよい。わしが持っていても、何の役にもたたんからな」
「感謝する」
ウルキオラはしばしその本を見つめたあと、思い出したようにオスマンに言った。
「最後に聞きたいことがある」
「なんじゃ?」
オスマンはきょとんとした顔で答えた。
「この本とあの剣を持ってきた奴の髪の毛はオレンジ色だったか?」
「いや、黒髪じゃったが…」
「そうか…」
ウルキオラはそういって退室する。
(黒崎一護ではないのか…ではなぜあの斬魄刀が…)
ウルキオラは片手に本を持ち、学院長室を後にした。
アルヴィーズの食堂の上の階が、大きなホールになっている。
舞踏会はそこで行われていた。
ウルキオラはバルコニーの枠にもたれ、華やかな会場をぼんやりと見つめていた。
中では着飾った生徒や教師たちが、豪華な料理が盛られたテーブルの周りで歓談している。
ウルキオラのそばには、シエスタが持ってきてくれたケーキと、紅茶が置かれていた。
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