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乱世の確率事象改変
喰らい乱して昇り行く
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確認出来ただけで十分だ。ありがとう、雪蓮」

 こうして素直に謝ってくるあたり、彼女はやはりズルいと思う。
 大きく息を付いた。自分も、彼女も。二人共が気持ちを切り替える為に。

「……来る前にな、蓮華様と話をした」

 ぽつりと零された。私が聞いてない話だろう。憑りつかれた様に仕事ばかりしていたはずだが、蓮華も何か思う所があったのかもしれない。
 すっと取り上げられた書簡が目の前に掲げられる。

「コレについて、お前はどう思う?」
「……コレって……えっ……区画警備隊? 徐州に放った細作からの報告じゃない!」
「少し違う。劉備軍が作り上げた区画警備隊の詳細情報……それを建業で行い易いように蓮華様と亞莎が煮詰めたモノだ」
「ふーん……うわ、すっごい。あの子こんな事考えてたの?」

 机に噛り付いて何をしていたかと思えば、劉備達の事案の昇華だとは思わなかった。

「……笛を作り出した時点で取り入れるつもりだったんだろう、と問われたよ。ふふ、やはりあの方も亞莎も、前の戦で化けたらしい。
 袁家の重税で疲弊している民を安定させ地盤を固めるには、何より国の血肉である民の身の安全が優先だ、とまで言われたぞ?」

 成長しているようで何より。まさか冥琳の思考まで読むとは思わなかったが。
 国は王のモノ。だが民と国は一心同体。蓮華はやはり、私より国をより良くするに向いている器の大きな王だったらしい。
 乱世を駆けるよりも、治世に於いて才を振るえる彼女は……生き残らせなければならない大切な宝だ。

「確かに私も区画警備隊を用いる気でいた。扱いやすい道具の技術を盗んで手に入れたのはその為が一つだ。他の奴等が生み出したモノとは言え、有用であるなら使わないはずがないさ。戦でにしろ、街中でにしろ、な。
 戦後処理の問題も山積みだったし、もう少しお前の負担が減ってからコレを敷き始めるつもりだったんだが……試させて欲しいと懇願されたよ。お前が居ない間の権限は私にあったから、許可させて貰った。報告が遅れてすまない」
「いいわよ、あなたに任せたんだから。
 でも……私が外交で忙しかったからしなかったってだけ?」
「劉表の動向が問題だったのよ。次の戦が迫っているかもしれないとなれば、警備隊発足にまで回している労力も金銭も無くてな」

 トントン、と指で差された所には、資金不足の文字が一つ。赤字の分は軍の兵を使って補う、とある。他の場所にその分の兵を回せなくなるけど、仕方ない、か。
 警備隊を作るには人を雇わなければならない。袁家の戦が終わって直ぐで、劉表と戦になるかもしれないとなっては雇う予算が無かったわけだ。
 勝ったとは言っても反抗的な豪族達も多々居座っている。懐柔するにはまだ足りない。中立やこちら側のモノに支援されるかどう
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