喰らい乱して昇り行く
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る。
ただ、どちらに味方するか、ではなく、どちらにも味方をしない……それがこの場で華琳のあるべき立ち位置でもある。
「……主を諌めるは臣下の務めでもある。では周公瑾、汝は……否、孫策の臣下達は何故その時止めなかったのか答えよ」
――責を負うモノを広げた……いや、違う。蓮華様も劉備の地を攻めてしまった故に、言い逃れは出来ない。
冥琳は気付く。劉表が何を狙って発言したのかを。
――こいつは……“孫呉の未来”を潰しに来た。
没落した名家の成り上がり劇は人を惹きつけるかもしれない。
ただ、あくまでそれは当事者たちにとっての物語。外から見ればどうか、と考えれば至極真っ当な言い分もあるのだ。落ちた名家の血筋の家族には、なんら価値などありはしない。袁家が求める方が異質であり、首輪を付けたという意味では当たり前の出来事。元より其処にどれだけの悲劇があろうとも、大陸の絶対者と比べて見れば石ころ程度にしか思われない。
睨みつけてもどこ吹く風。劉表は目すら合わせようとしない。
冥琳だからこそ、狙いが分かった。劉表は此処で孫呉を潰すつもりがない。より乱世をかき乱す為にしか動いていないと読み取った。
要は遊ばれているのだ。自分がどうとでも出来るお前らのような存在は、決して自分には勝つ事が出来ない、と。
華琳の質問にどう答えるか、考える暇さえ与えられていなかった。即時対応して守れるモノは……少しだけ。
「断金、と呼ばれる程の仲。我が友孫策が滅びるならば一蓮托生。部下は我ら二人の命に従うべくして従った故に、なんら関係はありません。そして孫家が次女、孫権様は我らの命に反して内政に従事していた所を、袁術より直接の命を受けて呼び出され、無理やり黒麒麟と相対した次第に」
強制的に従わせたと、王と軍師では無く、雪蓮と冥琳として近しいモノの救出を願い貫き通したと、そう言った。最後に、蓮華は自分達に反抗的だったと言い含ませて。
此処からは水掛け論になる。やはり証拠がない。袁家を崩壊に導く為に裏で糸を引いていたとしても、冥琳がその足跡を残すはずもない。
「孫権は家族でなく臣下として止めようとしたが反発し、せめてもの抗いとして内部に居残った、そう言うのか」
「はい。劉州牧は一番精強な時分の孫呉でも敗北を喫した相手にございます。飛将軍を身の内に迎えてより精強になった軍に、袁術に命じられたとは言え、我らが寡兵で挑み、機を見ていたのはそういった経緯があります」
此処で切る札を間違えてはいけない。呂布の話を出すのなら、この時しかなかった。
そうして……劉表の思惑に合わせるしかなくなる。もはや道は、一つしかない。
「勝てないと分かっていて戦を進めた……? 曹操じゃなくてオレと盟を結べばよかったじゃねーか。そうすれば
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