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或る皇国将校の回想録
第四部五将家の戦争
第五十四話 将軍閣下達の憂鬱
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の花形、軍の最精鋭の騎兵将校の座以上のものに成り果ててしまう可能性が高い。
 彼の姫君はそうした類のことには無頓着であり、彼は参謀長としてその類の事を補佐する事を自任していた。

「フリッツラーの師団の追撃はどうなっているか」

「第十五重猟兵師団は追撃を行なっていますが、現在は敵の後衛軍が河川を盾に防衛しています。
これ以上の攻勢は戦力比を考えますと、流石に単独では限界かと」

「当分は本領からの部隊に任せるしかないということね」
 ユーリアは不服そうに外に視線を飛ばす。
 所定の計画ならば東方辺境領の生え抜きからも一個師団は出す予定だったのだが、予想以上の消耗を受けてしまった事が気に入らないのだ。
「龍兵とデュランダール師団長の第三師団を投入すれば突破も可能でしょうが、再編成までかかる時間を考えるのならば本領からの増援を待つ方が確実でしょうな。
先発部隊の到着はもう間も無くです。彼らを待ちましょう」
メレンティンは穏やかに云った。



「お入りなさい」

扉が開くと〈帝国〉陸軍の将師以外の何物でもない堂々たる体躯と物腰を兼ね備えた男が入ってきた。

「元帥閣下、〈帝国〉本領より辺境鎮定派遣軍団司令官、〈帝国〉陸軍中将アイヴァン・ルドガー・ド・アラノック。
並びに辺境領鎮定派遣軍団、只今参着いたしました」

「待っていたわ。 貴殿と〈帝国〉本領を守る精兵達を」
かくして、〈皇国〉陸軍にとって最悪の夏が訪れようとしていた

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