希望に満ちて旅行することは、目的地にたどり着くことより良いことである
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石があったせいで無駄にダメージがでかい
しばらく蹲っていると人影が近づいてきた
「オメエ大丈夫か?うん?」
黒いポニーテールの青年が手を差し出してくる
出された手に大人しく掴まり立ちあがる
「デコに小石めり込んで痛かったけどもう大丈夫、心配掛けてすいません」
一礼して距離をとる
純粋に心配してくれただけかもしれんが用心にこしたことはない
「うん・・・お前、凄い血流れてるぞ、口から」
「通常運転であります」
敬礼して答える
面喰ったように瞬いて呆れたように見つめてくる
「・・・お前、本当に大丈夫か?」
何処が?と聞きたいがまぁ、大丈夫なものは大丈夫だ
乱暴に口を拭って商隊を追いかけると何故か青年もついて来た
「兄さんも商隊に用があるのか?」
振り返って声をかける
「ん、雷の国までちょっとな
あの商隊を追いかけるってことはお前も雷の国までか?うん?」
後ろにいたはずの青年はいつの間にか真横で歩いていた
・・・コンパスの差ですね妬ましい
頷いて返すと、青年は頷き返したあと大声で商隊に呼びかけた
聞きつけた商隊の人間が現れると、俺から離れ交渉が始まり、あれやこれやの内に馬車へ誘導される
されるがままに馬車に乗り込み腰かけると青年が笑った
「病気の弟を雷の国の病院まで連れて行くんだって言ったらコレだ、うん
得した気分だ」
何やら利用されたが、こういうのも旅の醍醐味かもしれない
「髪の色違うから疑われるんじゃないの?」
「大人は複雑な関係を妄想したがるもんさ・・・うん」
青年の髪は黒、俺の髪は白髪・・・いや、乳白色だこれだけは譲れない
たとえドヤ顔で決められても、この青年と兄弟というのは嫌だ
「そもそも弟っていうのも気に入らない」
なにやら粘土を取り出してこね始めた青年
あまりにも自然に出してくるから吃驚した
粘土くせぇ
「うん?だって年下だろ?」
デフォルメされた鳥を作りながら問われる
・・・こいつが何歳であろうとこの発言を許してなるものか・・・
「18歳だ」
「・・・嘘は、駄目だぞ、うん」
額に汗を流し眼をそむけた青年
本当だよ馬鹿
「俺、コン
あんたは?」
いい加減青年青年言うのも飽きたので自己紹介してみる
「うん?オイラは、ダラーってんだ
道中よろしくな、弟」
金にうるさいのだろうかと考え込んだ
弟という言葉に何やら含みを感じた
・・・なんかこいつ、見ためよ
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