第二楽章 トーク・オン・トレイン
2-1小節
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貴方の観察がわたくしの任務ですから、できるだけ貴方の近くに居る必要があるんですの。
……なんて、舌を抜かれても口にはいたしませんけれどね。
ルドガー君とDr.マティス、エルちゃんと猫さん、そしてわたくしが列車に乗り込みました。
段差に躓くと危ないからと手を差し出してくれたルドガー君。……やりますわね。さすがあの室長の弟さん。
適当な客席に落ち着いたところで、ちょうどアナウンスが始まりました。
――ピルルルルルルルルル。本日は当駅をご利用いただきまして誠にありがとうございます。当列車は今からマクスバード中央駅に向かいます。お乗り間違えのないようご注意ください。くり返します……――
最初は小さな音。ゆるやかに車窓の外の景色が後ろに流れ始める。その景色がただの横線の連続になる頃には、大きな振動と駆動音を起こして列車は本格的に走り出した。
するとエルちゃんは猫さんをぎゅうと抱いて、白黒の毛並みに顔を埋めました。
「どうした、エル。辛いか?」
「へ、ヘーキだしっ。エル、こわくなんかないもん」
「怖いんじゃないか」
そういえばエルちゃんはルドガー君やDr.マティスと一緒にテロの現場にいたと聞きました。
可哀想に。この歳でテロの現場なんて見てしまって。わたくしも色々と観るほうですが、それでも、エルちゃんが可哀想だという事実に変わりはありません。
「大丈夫だよ、エル。僕もルドガーもジゼルさんも付いてるから」
「Dr.マティスのおっしゃる通りです。全力でお守り申し上げますわ、エル様」
「……ん」
エルちゃんの小さな肩の強張りがほんの少し緩んだ。よかった。
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