暁 〜小説投稿サイト〜
閃の軌跡 ー辺境の復讐者ー
第11話〜イクシード・エクレール〜
[3/4]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
くる弾丸を水平斬りや垂直斬りで真っ二つにする。教官の懐に入り込めたケインは、篭手による正拳突きを繰り出すが、これも後方に避けられた。だが、それでは終わらず腰を落として重心を左に傾けて移動し、教官の横側から水平斬りで追撃する。虚を衝かれた教官は、ブレードを逆手に持って反射的にそれをガードする。黒と紫、二本の剣が交差し、甲高い剣戟の音を響かせた。

「・・・やるじゃない」

「あんたもな。これは、簡単には一本を取らせてくれないみたいだな」

拮抗状態の中、剣を握る力を緩めることなく互いに称賛しあう。
ケインの方は比較的涼しい顔をしているが、教官は徐々に押し迫ってくる剣に鍔迫り合いでは分が悪いと判断したのか、左手の銃をほぼゼロ距離から発射した。それを読み、ケインは咄嗟に左横にローリングで回避して即座に体勢を立て直す。その後、双方が得物を構え直してケインが再び行動を開始した。一定の距離を保ちながら射撃で牽制するサラ教官に、それを完璧にあしらいながら我流と宮廷の二剣術を使い分けて着実に張りつこうとするケイン。サラが撃ち、それを弾いて迫るケインの斬撃を彼女が避け、距離を取る。ハイスピードで行われるそんな応酬に、他のZ組メンバーは固唾を呑んで見守っていた。

「ケイン・・・」

「フン、あの男が簡単に負けるわけがないだろう。お前も少しは黙って見ていたらどうだ?」

「そ、そんなことは君に言われなくても判っている!!」

ケインが教官に喧嘩を吹っ掛けたことに責任を感じているマキアスは、心配そうにケインの方を見ていたが、所々に棘のあるユーシスの言葉を律儀に反駁する。おそらくはマキアスを気遣っていたのだろうが、素直には言わないようだ。眼前で繰り広げられている二人の応酬を見守りつつも今のやり取りを聞き、喧嘩するほど何とやらという言葉を脳裏に浮かべるのだった。

「・・・はあぁぁッ!!」

「くっ・・・」

銃撃を躱し切り、様々な方向や角度から迫りくるケインの素早い斬撃の数々に、教官は翻弄されつつあった。射撃が命中しない焦燥感が募り、彼の剣術を完全にいなしきれなくなってきたことへの動揺が、彼女の心の中で広がりつつあった。

(ケインが、怖く見えてきたわね。正直、死線どころじゃないかもしれないわ。
 ・・・でも、立ち止まってなんかいられない!)

一瞬の逡巡の中、意を決したサラがケインに接近する。それに対応するべくケインは腰を低くした。左斜めから迫る刹那の袈裟斬りを、斬撃の勢いを利用して剣の刃で受け流しつつ右にずれる。体勢を少なからず崩された教官は踏みとどまって銃撃に走ろうとするが、剣の柄で一突きされ、銃は手から離れてしまった。距離を取らず、反撃に打って出た教官の斬撃も篭手で防御してからそのまま弾き飛ばす。そして、教官に黒剣を突きつ
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ