暁 〜小説投稿サイト〜
魔道戦記リリカルなのはANSUR〜Last codE〜
Epos53決戦直前/たった一つの冴えたやり方〜VERSUS〜
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いたレヴィが遅れてやって来たディアーチェ達に、宙に浮かぶ赤黒い魔力の球体に指を差してそう教えた。アイルが「あの闇の中で力を蓄えているのですわね」と、僅かに焦りを含んだ声色で発した。

「まずいですね。充填状況はすでに8割超と言ったところでしょうか。作戦を立てた時に考えていた最悪が起きてしまっています。これでは私が用意した第一プランが通用しません」

砕け得ぬ闇の戦闘機能を停止させる制御プログラムが搭載されたカートリッジによる一撃を打ち込み、戦闘機能を強制停止させるという作戦。その第一プランは、マテリアル達だけで行うというもの。
しかしその第一プランも、砕け得ぬ闇の充填率の早さが台無しにしようとしていた。それを聞いたディアーチェが「我ら全基掛かりでもか?」と不服そうに訊くと、「無理ですね。通常戦闘であれば、接近する事すら困難かと」とシュテルは素直に答えた。

「で、ではどうすればいいでありますか?」

「やっぱりオリジナル達が来るのを待つの?」

フラムとレヴィの問い。シュテルはこの最悪のことを想定したうえでの作戦を立てていた。それが第二プラン。管理局組との共闘。ディアーチェは渋々ながらもオーケーを出したが、やはりこれまでのこともあって出来れば共闘などしたくないと考えていた。
共闘反対派はマテリアルのリーダーであるディアーチェを筆頭に、アイルとフラムの3基。レヴィはどっちつかず。シュテルは心が広いため、自分たちの悲願の為には共闘も協力も必要と考えている。ゆえに管理局と協力しての共闘は第二プランだ。もちろん、管理局組にはそのことは伝えてはいないが。

「そうですね。我らが束になろうと、そしていくら策と弄しても、あの子に私の一手が届かないことくらいは予想できていました。その為に私は、なのは達に協力を依頼したのです。王、アイル、フラム。構いませんね?」

「仕方がありませんわ」

「しょうがないであります」

アイルとフラムが折れる中、「・・・我の極大魔法で停止は出来ぬのか?」ディアーチェだけはあくまで自分たちの手だけで幕を引こうとする。ゆえにシュテルは「王、言うことを聴いて下さい」と進言する際のディアーチェの呼び名、王、を使ってそう返した。

「それに王には、来たるべき戦いの為に力を温存して頂かねばなりません」

「来たるべき戦いだと? シュテル、貴様は一体何を考えておる・・・?」

シュテルはディアーチェにハッキリと答えることなく、砕け得ぬ闇の居る魔力球へと視線を移した。そして「今できるのは、後の勝利へと繋がる布石を打つこと」と言って、“ルシフェリオン”の柄をギュッと握りしめた。それに気付いたフラムがほっと小さく息を吐いて、「これ以上の充填を阻止することでありますな」と微笑んだ。その微笑みはどこか寂しげだった。
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