第一部
第三章 パステルカラーの風車が回る。
リー
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れに、試合に勝ったのは貴方でしょう!? その必要はないはずっ! それとも彼女に何か個人的な恨みでも!?」
「恨みはない……ただ俺が殺しておきたいから、殺すだけだ」
「木ノ葉旋風ッッ!」
我愛羅のその一言に、リーが飛び出した。深緑の光となって我愛羅を襲うその足を、瓢箪から溢れた砂がキャッチする。どばりと溢れた砂の指がリーを掴もうとし、リーはくるくると後方へ向かって回転しながらそれを回避する。目標を捕らえ損ねた砂はずるずると我愛羅の瓢箪に戻っていった。
「はああッ!」
リーの蹴りや拳が我愛羅の半歩前で繰り出されていく。しかし我愛羅の砂はそれを悉く受け止め、受け流し、そして攻撃を加える。反撃に乗り出した砂に囲まれたリーはそれをクナイで切り裂きながら、前方を見つめたまま顔色一つかえず、一歩も動いていない我愛羅を狙うが、しかし砂に防がれ攻撃は一つとして我愛羅に届かない。あふれ出た大量の砂に、リーは一時後退せざるを得なくなった。マナが砂のせいで窒息しないよう、はじめがマナを抱えて病室を出て、いの、サクラも病室の外に移動する。戦闘の邪魔にならない為だ。
手裏剣を二枚投擲。しかしそれはやはり砂に受け止められてしまう。
「あの速いリーさんの攻撃が、全然効かないなんて……!」
「一体どうなってるのよ!?」
我愛羅の意思とは全く無関係に我愛羅を守る砂の力に、サクラもいのも目を見張るばかりだ。
――くっそお……! 本人はぴくりとも動いていないのに……!
悔しさに唇をかみ締めるリーに、我愛羅が静かに問いかけた。
「それだけか?」
つまらない奴だなと。我愛羅はそう言ってはいないけれど、でも、そう思ったんだろうということが確かに感じられた。「もっと」と我愛羅が囁く。「足りないんだ」と、消え入りそうな声で。
「血が」
その囁きと共に、砂がリーへと突進してきた。飛び上がって回避しようとするも、足を砂に掴まれて振り回される。病室の窓の方へと投げつけられ、ガラスがバリバリと割れる。それでもなんとか窓の外に落ちずにすんだリーは、砂の更なる追撃を避け、突進を続ける。拳と蹴りを再び繰り出しはじめるが、それはやはり砂に防がれてしまう。
正直言って、接近戦は難しい。だけどリーには、体術一本しかないのだった。
背後に視線を寄せる。後ろにいるのははじめ、マナ、サクラ、それにいの。後輩たちの姿に、ガイの言葉がよみがえる。たくさんの大切な人を守る時にしか外してはいけないもの。その条件は既に、満たされていた。
飛び上がったリーが空中で錘を外す。根性という文字の書かれた錘だ。
「錘!? でも、そんなのを外したくらいでこの人に追いつけ――」
所詮一キログラムくらいだろうと思い込んでいたいのは、地面に落下した錘が床
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